平成18年特(わ)第4205号
迷惑防止条例違反
裁判速記録
日時・平成18年12月20日(水)
於・東京地方裁判所第425号法廷
 
 
裁判官: 神坂尚 、宮本聡、大村るい
検察官: 小出幹、山崎文子、森田秀人、上山晶子
 
 
  1. 神坂裁判長 よろしいでしょうか。それでは、開廷いたします。  本日の日程は、予定として、証人尋問ということでよろしいでしょうか。
  2. 検察官1 はい、結構ですが、その前に証拠請求があるのです。  甲24号証から甲31号証まで8点、証拠物として写真を証拠請求したいと思います。
  3. 神坂裁判長 ブツとして請求するということになるのですか。
  4. 検察官1 そういうことです。
  5. 神坂裁判長 証拠等関係カードはお持ちですか。
  6. 検察官1 作成しておりませんが、必要であれば、また追って提出いたします。
  7. 神坂裁判長 24号証から34号証にかけての11点になるのですか。
  8. 検察官1 いえ、24から31までの8点です。
  9. 神坂裁判長 この証拠についての立証趣旨は。
  10. 検察官1 立証趣旨は、○○○○○○○が友人との間でやりとりしたメールのやりとり、その内容ということです。
  11. 神坂裁判長 甲20号でしたか、これに添付されるということですね。
  12. 検察官1 添付されたもの、そのものではありませんが、内容的には同じようなものが入っております。
  13. 神坂裁判長 この証拠請求について弁護人のご意見はいかがですか。
  14. 弁護人A ブツとしてということですが、証拠とすることには異議があります。立証趣旨がそのメールの内容ということであれば、それはやはり供述調書として……。
  15. 神坂裁判長 内容ということですか。
  16. 弁護人A 検察官は、そのメールの存在及び内容ということでしたので、立証趣旨が、そういうことであれば、やはり……。
  17. 神坂裁判長 請求証拠について異議があるということですか。供述調書とするには異議があるという趣旨ですね。
  18. 弁護人A はい。
  19. 神坂裁判長 立証趣旨は、そのメールそのものの存在ということで間違いないですか。
  20. 検察官1 存在でも構いませんけれども、メールの内容といっても、そのメールの内容、記載している内容、そういう意味だということですので。
  21. 神坂裁判長 内容の真実性というのを、メールの内容、書かれているその記載内容ということだろうと思うのですけれども、これもやはり同じでしょうか。
  22. 弁護人A そうですね。記載内容といっても、やはりそれが出てくる以上は、その内容の真実性……。
  23. 神坂裁判長 弁護人のご意見としてはそういうことで、では検察官の立証趣旨は、記載内容というふうに聞いておきますが、どうですか。
  24. 検察官1 はい。
  25. 神坂裁判長 それでは、この段階で、今の24から31を採用いたします。
  26. 弁護人B 今の証拠決定について異議があります。記載内容ということで、決定ということですけれども、通常これが証拠に出れば、その内容についても裁判官の目に触れますし、その内容の真実性についても、判断の対象になると考えますので、その点で320条の伝聞証拠禁止の原則の解釈適用を誤った違法なものがあると考えます。
  27. 神坂裁判長 検察官、ご意見。
  28. 検察官1 異議は理由がないものと思料いたします。
  29. 神坂裁判長 弁護人の異議の申し立ては棄却いたします。  取り調べを行いますので、24号から添付資料ということでよろしいですね。  証拠そのものの方は、弁護人の方にいっているわけですね。それでは、提出されたということでよろしいでしょうか。改めて提出……。
  30. 検察官1 はい。
  31. 神坂裁判長 それでは、この段階で提出されたことにいたします。
  32. 検察官1 一応、写真なので、幾つか特定をしておきます。
  33. 神坂裁判長 ちょっと待ってくださいね。証拠の番号が、写真そのものに記載されていないので。
  34. 検察官1 それは書いてないですね。
  35. 神坂裁判長 書いているものがあるのですか。
  36. 検察官1 書いているものはないです。
  37. 神坂裁判長 では、それを確認しながら。
  38. 検察官1 そうですね。済みません。
  39. 神坂裁判長 携帯電話の全体を撮影されているものが24ということでいいですか。
  40. 検察官1 はい。
  41. 神坂裁判長 これが24です。それからメールの表題部分から終わりまで、これが25です。本文の書き出しが「訴える」となっているものが26。やはり本文で「顔をした男が」で始まるのが27です。本文、「い」句読点、「なんか」で始まるのが28。次に、最上部に表題があって、括弧の134とあって、「いいな」とあるのが29。次に本文、「が次回に」で始まるのが30。やはり本文、「らとかあるしな。」、これが31。
  42. 弁護人A 最後の2つが、順番が逆の方が、つながると思います。
  43. 神坂裁判長 ああ、そうですか。その順番の方がつながりますか。  済みません。ちょっともう一度そこは30番と31番で、「らとかあるしな。」、これが30番、「が次回に」で始まるのが31番、それでよろしいわけですか。
  44. 弁護人A はい。
  45. 神坂裁判長 失礼しました。それでは、そういう順番で提出してください。  では、裁判官用ということでお持ちいただいているということなんで。
  46. 弁護人A ああ、同じものを。
  47. 神坂裁判長 それでは、提出してください。  それでは、よろしいですね。  証拠で、今振った番号でいくと、27から28にかけてですけれども、裁判所が今いただいたものは、飛んでいるようなんですが、これはこれでよろしいわけですか。
  48. 検察官1 飛んでいるといいますか、重複しているんだと思います。携帯電話をスクロールしながら撮っていまして。
  49. 神坂裁判長 わかりました。
  50. 検察官1 それについては30と31にあると思います。
  51. 神坂裁判長 ああ、そうですか。  では、よろしいですね。  今の新たな証拠調べの関係を終了してよろしいですね。  では、尋問に移ります。
  52.      

    〔証人、入廷〕

  53. 神坂裁判長 どうもお忙しいところをご苦労さまですが、お名前、年齢、職業、住所は、先ほどカードに署名、記載していただきましたけれども、そのとおりで間違いないでしょうか。
  54. T証人 間違いありません。
  55. 神坂裁判長 それでは、この事件で証人としてお伺いすることになりましたので、お伺いする前に宣誓をしていただきますので、宣誓書を手にとって朗読してください。お願いします。
  56. T証人 宣誓。良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。証人。
  57. 検察官1 それでは、いすがありますので、おかけになってください。
  58.      

    〔T証人、着席〕

  59. 神坂裁判長 それでは、今から順番にお話を聞いていくということになりますけれども、今宣誓していただきましたので、宣誓された証人の方がわざとうそをいうと、偽証罪ということになって処罰されるおそれがありますので、真実のみを答えてください。  それでは、検察官の方からどうぞ。
  60. 検察官1 それでは、検察官の検察官1の方からお尋ねしていきます。落ちついて答えていただきたいと思います。  あなたは、ことし、つまり、平成18年の9月13日の夜、電車の中で、男が女子高生に対して痴漢行為を働いているところを目撃したということがありましたか。
  61. T証人 はい、ありました。
  62. 検察官1 9月13日の夜の何時ごろのことでしたか。
  63. T証人 22時ちょっと過ぎのことです。
  64. 検察官1 電車の中ということですが、どういう電車の中でしたか。
  65. T証人 京浜急行の快速の電車の中でした。
  66. 検察官1 その電車にはあなたはどこから乗ったのですか。
  67. T証人 品川駅です。
  68. 検察官1 品川の駅を何時何分に出る電車の中だったかというのはわかりますか。
  69. T証人 22時8分です。
  70. 検察官1 08分ということですね。
  71. T証人 はい、そうです。
  72. 検察官1 どこ行きの快速電車でしたか。
  73. T証人 京急久里浜行きです。
  74. 検察官1 その電車の何両目のどのあたりで目撃したのですか。
  75. T証人 3両目の真ん中のドアです。
  76. 検察官1 前から3両目ということですか。
  77. T証人 はい、そうです。
  78. 検察官1 1車両にドアが幾つあるのですか。
  79. T証人 3つあります。
  80. 検察官1 そのうちの真ん中のドアの中ということになるわけですか。
  81. T証人 はい、そうです。
  82. 検察官1 ドアから入ったあたり、そういうことになるわけですかね。
  83. T証人 はい、そうです。
  84. 検察官1 その電車がどのあたりを走っているときにあなたは痴漢行為を発見したのですか。
  85. T証人 品川から京急蒲田駅の間です。
  86. 検察官1 痴漢行為をされている人が女子高生だということはどうしてわかったんですか。
  87. T証人 服装からです。
  88. 検察官1 服装というと、どういう服装からということですか。
  89. T証人 制服だった。
  90. 検察官1 高校生っぽい制服を着ていたということですか。
  91. T証人 はい、そうです。
  92. 検察官1 その女性の見た目の年齢とかはどうでしたか。
  93. T証人 16〜17ぐらいだったと思います。
  94. 検察官1 そういうことから女子高生だろうとわかったと、そういうことになりますか。
  95. T証人 はい、そうです。
  96. 検察官1 一方、痴漢行為を働いていた男、この男は、どういう男でしたか。
  97. T証人 40過ぎのおじさんだと思います。
  98. 検察官1 どういう格好、どういう服装をしていましたか。
  99. T証人 スーツを着ていました。
  100. 検察官1 ネクタイを締めていましたか。
  101. T証人 はい。
  102. 検察官1 あなたが目撃したその痴漢行為ですけれども、そのおじさんが女子高生に対してどのような痴漢行為を働いているところを目撃したのでしょうか。
  103. T証人 左手で女子高生の腰からお尻にかけてをさわっているところを見ました。
  104. 検察官1 それで、どうなったんですか。
  105. T証人 女子高生の方からおじさんの方に抗議の声が上がりました。
  106. 検察官1 で、結局その抗議があって、そのおじさんは痴漢行為をするのをやめた、そういうことになるのですか。
  107. T証人 はい、そうです。
  108. 検察官1 で、その後、そのおじさんと女子高生はどうなったのですか。
  109. T証人 京急蒲田駅でおりていきました。
  110. 検察官1 その痴漢行為を働いていたというおじさんですけれども、顔などを見ればわかりますか。
  111. T証人 はい、わかると思います。
  112. 検察官1 この法廷の中にはそのおじさんはいますか。
  113. T証人 はい、います。
  114. 検察官1 どこにいますか。
  115. T証人 こちらです。
  116. 検察官1 あなたの右横の被告人がそのおじさんですか。
  117. T証人 はい、そうです。
  118. 検察官1 それでは、あなたが痴漢行為を目撃したときのことについて、さらにもう少し詳しくお尋ねしていきますが、まず、あなたがそのとき京浜急行の電車に乗っていたのは、職場から自宅に帰るときだったのですね。
  119. T証人 はい、そうです。
  120. 検察官1 あなたの職場はJR中央線の○○駅が最寄り駅、あなたの自宅は京浜急行のK駅が最寄り駅になるのですね。
  121. T証人 はい、そうです。
  122. 検察官1 この日、9月13日の職場からの帰宅時刻や帰宅ルートはどのようなものだったのですか。
  123. T証人 帰宅時刻は21時20分ごろだったと思います。
  124. 検察官1 そのころに職場を出たと、そういうことですか。
  125. T証人 はい、そうです。
  126. 検察官1 それで、あなたはどうしたのですか。
  127. T証人 最寄りのJR○○駅から新宿に向かいました。
  128. 検察官1 中央線に乗ったと、そういうことですか。
  129. T証人 はい、そうです。
  130. 検察官1 新宿駅からはどうしたのですか。
  131. T証人 JR山手線で品川に向かいました。
  132. 検察官1 品川駅に着いたのは何時ごろでしたか。
  133. T証人 22時ちょっと過ぎだったと思います。
  134. 検察官1 そして、そこから、品川駅から京浜急行に乗って、K駅まで行ったということになるのですか。
  135. T証人 はい、そうです。
  136. 検察官1 その途中で、電車の中で、最初にお話しされた痴漢行為を目撃した、そういうことになるわけですね。
  137. T証人 はい、そうです。
  138. 検察官1 ところで、そのときあなたは、先ほど京浜急行の快速電車、22時08分に品川駅を出る電車に乗ったというふうにお話しされたのですけれども、どうしてそういうふうにいえるのですか。
  139. T証人 品川で見た掲示板に時間が出ていたからです。
  140. 検察官1 22時08分というふうに出ていたとはっきり見て、はっきり記憶しておったのですか。
  141. T証人 08分とまでは覚えていませんが、0何分までは見えました。
  142. 検察官1 きょうの証言では、22時08分に出る電車だったというふうにおっしゃったんだけれども、それはどうしてそういうふうにおっしゃったのですか。
  143. T証人 自分の帰宅時間から、後で調べてみまして、該当する時間がそれだということがわかりました。
  144. 検察官1 後日、京浜急行のダイヤを調べてみたと。
  145. T証人 はい。
  146. 検察官1 それに当たるものがそれだったと、そういうことになるわけですか。
  147. T証人 はい、そうです。
  148. 検察官1 それから、あなたはそのとき、前から3両目の車両に乗ったということですけれども、どうしてそのようにいえるのですか。
  149. T証人 乗車した位置は覚えていましたので、これも後から調べて、正確に前から3両目ということがわかりました。
  150. 検察官1 当日、電車に乗るときに、前から何両目の車両に乗ろうとか考えて、あるいは車両を数えて乗ったというわけではなかったのですね。
  151. T証人 そうです。
  152. 検察官1 ただ、乗った位置自体は覚えていたと。後日確認してみたら、3両目に間違いないということがわかったと、そういうことになるわけですか。
  153. T証人 はい、そうです。
  154. 検察官1 そして、あなたは先ほどもちょっと証言がありましたけれども、ドアが3つあるうちの真ん中のドアからその電車に乗った、そういうことでよろしかったですか。
  155. T証人 はい、そうです。
  156. 検察官1 品川駅を出るときのその電車の車両内の混みぐあいはどのようなものでしたか。
  157. T証人 混雑はしていましたが、隣の人の肩とぶつかるようなことはないぐらいの混みぐあいでした。
  158. 検察官1 座席は全部埋まっていましたか。
  159. T証人 埋まっていました。
  160. 検察官1 立っている人も大勢いましたか。
  161. T証人 はい、いました。
  162. 検察官1 ただ、普通に立っていれば、隣の人と体が触れ合うようなことがなく立っていられるような状態ではあったのですか。
  163. T証人 はい、そうです。
  164. 検察官1 あなたはそのとき、その電車の車両に乗って、どういう位置に立ったのですか。
  165. T証人 真ん中のドアから入っての広い場所に立っていました。
  166. 検察官1 つり革につかまったりしましたか。
  167. T証人 はい、つかまりました。
  168. 検察官1 どのあたりのつり革につかまったか覚えていますか。
  169. T証人 はい。ドアからドアにかけての方につながっているつり革につかまりました。
  170. 検察官1 どちらの手でつかまりましたか。
  171. T証人 左手です。
  172. 検察官1 あなたの顔や体はどちらの方を向いていたということになるのですか。
  173. T証人 乗車したドアとは反対のドアの方向を向いていました。
  174. 検察官1 ちなみに、このときのあなたの服装はどのようなものでしたか。
  175. T証人 上下、濃いグレーのスーツです。
  176. 検察官1 ネクタイも締めていましたか。
  177. T証人 はい、していました。
  178. 検察官1 かばんや手荷物は持っていましたか。
  179. T証人 はい、リュックを持っていました。
  180. 検察官1 手に何か持っていたということはあったのですか。
  181. T証人 いえ、ありません。
  182. 検察官1 リュックを持っていたというふうにおっしゃったのですけれども、リュックを背負っていたということですか。
  183. T証人 はい、そうです。
  184. 検察官1 リュックはどういう色のものですか。
  185. T証人 黒いリュックです。
  186. 検察官1 真っ黒ですか。
  187. T証人 オレンジのラインが幾つか入っています。
  188. 検察官1 ここで甲4号証に添付されております再現現場見取り図1の写しを作成しておりますので、これを証人に示したいと思います。  この図面は京浜急行の電車の車両の中を図面化したものですけれども、これを見て、何のことだかというのはおよそわかりますか。
  189. T証人 はい、わかります。
  190. 検察官1 この図面にあなたが立っていた位置を示して、そこに赤ペンでマルWというふうに書いてください。
  191. T証人 はい。
  192. 検察官1 そして、そのときあなたが向いていた方向がわかるように、向いていた方向に矢印を書き入れてください。
  193. T証人 はい。
  194. 検察官1 さて、あなたは、この電車の車両に乗り込んですぐに、今回痴漢行為を働いたおじさんや、被害に遭った女子高生が、同じ車両に乗っていることに気づいたのですね。
  195. T証人 はい、そうです。
  196. 検察官1 最初に気づいたとき、女子高生は、その車両の中で、どちらの方を向いて立っていたのですか。
  197. T証人 真ん中のドアから入った広い場所の真ん中に立っていました。
  198. 検察官1 どちらの方を向いていましたか。
  199. T証人 進行方向を向いていました。
  200. 検察官1 その女子高生もつり革につかまっていたのですか。
  201. T証人 つかまってはいませんでした。
  202. 検察官1 女子高生は高校の制服と思われるような服を着ていたと、そういうことでしたね。
  203. T証人 はい、そうです。
  204. 検察官1 覚えている限りで結構ですが、どういう服装でしたか。
  205. T証人 上着については、余り記憶がありません。下についてはスカートを履いていました。
  206. 検察官1 何色のスカートでしたか。
  207. T証人 紺色です。
  208. 検察官1 その女子高生の身長は、見た目で結構なんですが、どれぐらいに見えましたか。
  209. T証人 158ぐらい。160いかないぐらいだったと思います。
  210. 検察官1 一方、あなたが最初に気づいたとき、おじさんの方は、その車両の中で、どのような位置に、どちらの方向を向いて立っていたのですか。
  211. T証人 女子高生の真後ろに立っていました。
  212. 検察官1 どちらの方向を向いていましたか。
  213. T証人 進行方向を向いていました。
  214. 検察官1 そのおじさんはつり革につかまっていましたか。
  215. T証人 いえ、つかまっていませんでした。
  216. 検察官1 その女子高生とそのおじさんは、いずれも同じ方向、つまり電車の進行方向の方を向いて立っていたということになるわけですね。
  217. T証人 はい、そうです。
  218. 検察官1 そして女子高生の後ろにおじさんが立っていたと、そういう位置関係にあったわけですか。
  219. T証人 はい、そうです。
  220. 検察官1 その女子高生とおじさんとの距離関係はどのような感じでしたか。
  221. T証人 密着していました。
  222. 検察官1 そのときの女子高生の様子はどんな感じでしたか。
  223. T証人 窮屈そうな感じでした。
  224. 検察官1 そのおじさんの後ろ、後方はどんな感じでしたか。
  225. T証人 1人、2人、立てるぐらいのスペースはあいていました。
  226. 検察官1 先ほどの図面をもう一度見ていただきたいと思うのですけれども、その図面に女子高生が立っていた位置を示して、そこに赤ペンでマルVというふうに書き入れてください。
  227. T証人 はい。
  228. 検察官1 またその女子高生が向いていた方向がわかるように矢印を書き入れてください。
  229. T証人 はい。
  230. 検察官1 それから今度はその図面におじさんが立っていた位置を示して、そこに赤ペンでマルAと書き入れてください。
  231. T証人 はい。
  232. 検察官1 やはり同じように、おじさんが向いていた方向に矢印を書き入れてください。
  233. T証人 はい。
  234. 検察官1 あなたは最初にその女子高生とおじさんを見たときに、その位置関係を見てどういうふうに思いましたか。
  235. T証人 非常に近いなと思いました。
  236. 検察官1 非常に近いなというのはどういう意味ですか。
  237. T証人 それほど密着する必要がない程度の混雑だったので。
  238. 検察官1 それにしては密着しているなということを思ったと、そういうことですか。
  239. T証人 はい、そうです。
  240. 検察官1 距離に違和感を感じたと、そういうことになりますか。
  241. T証人 はい、そうです。
  242. 検察官1 そのとき、女子高生の後ろに立っているおじさんはどんな体勢でいましたか。
  243. T証人 右側に重心がかかっているような状態でした。
  244. 検察官1 それを見て、あなたはどう思いましたか。
  245. T証人 不自然だなとは思いました。
  246. 検察官1 そのおじさんの手はどういうふうになっていましたか。
  247. T証人 両手ともに自分の真横ではなく、前の方、女子高生の方にいっていました。
  248. 検察官1 その時点であなたは、そのおじさんがその女子高生に痴漢行為をしているというふうには思いませんでしたか。
  249. T証人 その時点では思いませんでした。
  250. 検察官1 その時点であなたは、そのおじさんの手の先がどこにあるか、どうなっているのか確認していたというわけではなかったのですか。
  251. T証人 確認していません。
  252. 検察官1 その時点では、ただ距離に違和感を覚えたり、あるいはおじさんの体勢に不自然さを感じたりした程度だったということでよろしいですか。
  253. T証人 はい、そうです。
  254. 検察官1 ところで、電車が品川駅を発車してからのことですが、あなたは当初何をしていましたか。
  255. T証人 電車の中づり広告を見たり、ぼうっとしたりしていました。
  256. 検察官1 電車が品川駅を発車してしばらくしてから、今回、先ほどおっしゃったような痴漢の場面を目撃したということになるのですか。
  257. T証人 はい、そうです。
  258. 検察官1 先ほどと重複するかもしれませんが、どういうことがあったのか、もう一度おっしゃってください。
  259. T証人 おじさんの左手が女子高生の腰からお尻にかけてのあたりに触れていました。
  260. 検察官1 女子高生の腰からお尻にかけてのあたりというふうにおっしゃったのですが、腰とかお尻といっても、それで大体はわかるのですけれども、体の部分として、例えば左側の方とか、右側の方とか、真ん中のあたりとかというふうにも分けられると思うのですけれども、そういう言い方でいうと、どのあたりをさわっていたということになるのでしょうか。
  261. T証人 女子高生の左の側面です。
  262. 検察官1 左の側面ですか。
  263. T証人 はい。
  264. 検察官1 それの腰からお尻にかけてのあたり、そういうことになるわけですか。
  265. T証人 はい、そうです。
  266. 検察官1 あなたがそのような様子を目にしたのは、電車が品川駅を発車してどれくらいたったころでしたか。
  267. T証人 正確にはわかりませんが、1、2分たったころだと思います。
  268. 検察官1 もちろん時計などで確認していたということではないわけですね。
  269. T証人 はい、そうです。
  270. 検察官1 感覚としては品川駅を出て割とすぐという感じですか。
  271. T証人 はい、そうです。
  272. 検察官1 ちょっとおかしな質問かもわかりませんが、なぜあなたはそのとき、そのことに気づいたんでしょうか。
  273. T証人 特に見ようとして見ていたわけではないのですが、ふとした瞬間というか、そこに目がいったからです。
  274. 検察官1 あなたとしては、先ほどおじさんと女子高生との距離に違和感を感じたり、あるいはおじさんの体勢に不自然さを感じたということでしたね。
  275. T証人 はい。
  276. 検察官1 だからといって、その後おじさんと女子高生のことをずっと注意して見ていたというわけではなかったのですか。
  277. T証人 はい、そうです
  278. 検察官1 ただ、その後、またそちらの方に目がいったときに、先ほどのような場面が見えたと、そういうことになるわけですか。
  279. T証人 はい、そうです。
  280. 検察官1 そのときおじさんの左手は、女子高生の腰からお尻にかけてのあたりに完全に触れていた、さわっていたのですか。
  281. T証人 さわっていました。
  282. 検察官1 なぜ完全に触れていた、さわっていたといえるのですか。
  283. T証人 さわっていたところに、スカートのしわというか、くぼみのようなものがあったからです。
  284. 検察官1 それは、さわれば、ある程度の力が加わるわけなんだけれども、それにそのスカートの生地が、体の方に押しつけられるような、そういったしわ、くぼみができていたからと、そういうことになるわけですか。
  285. T証人 はい、そうです。
  286. 検察官1 あなたの視力はどれくらいですか。
  287. T証人 左が1.5、右が1.2です。
  288. 検察官1 もちろんめがねをかけたり、コンタクトレンズを入れたりしなくても、日常生活に不便はないですね。
  289. T証人 はい、ありません。
  290. 検察官1 このときの電車の明るさというのはどのような感じでしたか。
  291. T証人 普通でした。
  292. 検察官1 ごく普通の電車の明るさということですか。
  293. T証人 はい、そうです。
  294. 検察官1 新聞や雑誌などを読むこともできるくらいの明るさでしたか。
  295. T証人 はい、そうです。
  296. 検察官1 そのときですけれども、あなたと女子高生との間に、あるいはあなたとおじさんとの間に、ほかの乗客は全くいなかったのですか。
  297. T証人 女性が1人いました。
  298. 検察官1 どのあたりにいましたか。
  299. T証人 自分の右斜め前あたりです。
  300. 検察官1 この乗客は女性ということでしたね。
  301. T証人 はい。
  302. 検察官1 年齢とか身長とかわかりますか。
  303. T証人 顔を見ていないので、詳しくはわかりませんが、割と若い女性だと思いました。
  304. 検察官1 身長はどれくらいに見えましたか。
  305. T証人 160前後だったと思います。
  306. 検察官1 服装とか髪型などは覚えていますか。
  307. T証人 余りよく覚えていません。
  308. 検察官1 その女性の乗客はどちらの方を向いて立っていたのですか。
  309. T証人 進行方向に対して右斜め45度くらいの角度だったと思います。
  310. 検察官1 それでは、また先ほどの図面を見ていただきたいのですが、その図面にその女性乗客が立っていた位置を示して、そこに赤ペンでマル女というふうに書き入れてください。
  311. T証人 はい。
  312. 検察官1 同じく先ほどと同じように、その女性乗客が向いていた方向がわかるように矢印を書き入れてください。
  313. T証人 はい。
  314. 検察官1 ところで、あなたは、おじさんの左手が女子高生の腰からお尻にかけての部分に触れていたと、そういうふうに証言されるわけですけれども、今図面に書いてもらったように、女性の乗客が立っていたのに、それでもあなたの位置から、おじさんの左手あるいは女子高生の腰、女子高生のお尻のあたりは見えたのですか。
  315. T証人 はい、見えました。
  316. 検察官1 女性の乗客がいたのに、どうして見えたんですか。
  317. T証人 女性は私の真っ正面に立っていたわけではなかったので、左側に十分に見えるスペースはありました。また、左肩の上、肩越しからでも十分に見える位置でした。
  318. 検察官1 そもそもその女性の体は、あなたが女子高生の腰あるいはお尻のあたりを見るときに、完全にダブってくるような位置関係ではなかったわけですか。
  319. T証人 はい、そうです。
  320. 検察官1 あなたは身長は幾つあるのですか。
  321. T証人 183です。
  322. 検察官1 その女性は、先ほどあなたの見立てによれば、160センチ前後ということでしたね。
  323. T証人 はい、そうです。
  324. 検察官1 その女性の肩越しからも、ある程度向こうが見通せる状況だったと、そういうことだったわけですね。
  325. T証人 はい、そうです。
  326. 検察官1 あなたは、おじさんの左手が、女子高生の腰からお尻にかけてのあたりに触れているのを見たということですけれども、それを見た時点で、すぐに痴漢行為を働いているんだというふうに思いましたか。
  327. T証人 可能性はあると思いましたが、確信はしていませんでした。
  328. 検察官1 なぜ確信していなかったのですか。
  329. T証人 そういった体勢をとらざるを得ない事情があるかもしれないと考えたからです。
  330. 検察官1 そういった体勢をとらざるを得ないというのは、そのおじさんがということですか。
  331. T証人 はい、そうです。
  332. 検察官1 例えばどういうことが考えられますか。
  333. T証人 考え過ぎかもしれませんが、手が不自由な方であったりといったことです。
  334. 検察官1 例えば電車が揺れたり、あるいは電車が混雑したりしているために、たまたまおじさんの手が触れてしまっただけではないかというようなことは考えなかったのですか。
  335. T証人 そういう可能性も考えました。
  336. 検察官1 なので、見た瞬間、すぐに確信できるということではなかったと、そういうことですか。
  337. T証人 はい、そうです。
  338. 検察官1 それで、あなたはどうしたのですか。
  339. T証人 しばらく注目する形になりました。
  340. 検察官1 それはなぜしばらく注目していたのですか。
  341. T証人 怪しいなというイメージを受けたからです。
  342. 検察官1 もちろん注目というのは、おじさんの動きに注目していたと、そういうことになりますか。
  343. T証人 はい、そうです。
  344. 検察官1 怪しいなというのはどういうことですか。
  345. T証人 痴漢をしているのではないかといったことです。
  346. 検察官1 要するに、わざとさわっている、つまり、痴漢行為をしているんだというのか、それともたまたま何らかの事情で、おじさんの手が女子高生の体に触れてしまっているのか、それを見きわめようと思ったと、そういうことですか。
  347. T証人 はい、そうです。
  348. 検察官1 それでその後、しばらくの間、あなたはおじさんの様子あるいは女子高生の様子を見ていたと、そういうことになるわけですか。
  349. T証人 はい、そうです。
  350. 検察官1 しばらくそういう様子を見ていて、結局のところ、最終的にあなたとしてはどのように判断したわけですか。
  351. T証人 痴漢をしていると判断しました。
  352. 検察官1 先ほどいったように、あなた自身もおっしゃったように、例えばおじさんの方に何らかの理由があって、あるいは電車が揺れたりして、たまたまそういう体勢をとらざるを得なかった、あるいは、たまたま女子高生の体に触れてしまっただけなんだというふうには思わなくなったと、そういうことですか。
  353. T証人 はい、そうです。
  354. 検察官1 それはどうしてそういうふうに判断したのですか。
  355. T証人 途中、電車が揺れたりしたときにも、手が離れることなくついていたからです。
  356. 検察官1 途中、電車が揺れたりして、女子高生の体が動くというようなこともあったわけですか。
  357. T証人 はい、ありました。
  358. 検察官1 それでもおじさんの左手というのは、その女子高生の体についていっていたと、そういうことになりますか。
  359. T証人 はい、そうです。
  360. 検察官1 そのほかにどういうことがあったのですか。
  361. T証人 女子高生自身が動いたこともありましたが、同じく手がついていっていました。
  362. 検察官1 女子高生自身が動いたというのは、みずから体を動かしたということですか。
  363. T証人 はい、そうです。
  364. 検察官1 そのときも同じような状況だったわけですか。
  365. T証人 はい、そうです。
  366. 検察官1 あなたが見ていた限りで結構ですけれども、おじさんの左手はどれくらいの時間、女子高生の腰からお尻にかけての部分に触れたままの状態でいたのですか。
  367. T証人 正確にはわかりませんが、感覚で2分ぐらいだったと思います。
  368. 検察官1 それぐらいずっとおじさんの手は、女子高生の体に触れたままだったと、そういうことになるわけですか。
  369. T証人 はい、そうです。
  370. 検察官1 そうすると、そういうことも、あなたが、つまり、あなたの感覚で2分ぐらいずっと触れたままだったということも、これはたまたまではなくて、わざとなんだなと判断した理由ということになりますか。
  371. T証人 はい、そうです。
  372. 検察官1 さて、おじさんの左手の方は女子高生の体に触れていたというお話なんですけれども、その間おじさんの右手の方はどうなっていたかわかりますか。
  373. T証人 右の手のひらまではわかりません。
  374. 検察官1 どうしてわからないのですか。
  375. T証人 女子高生とおじさんの体の陰に隠れて見えなかったからです。
  376. 検察官1 右手の動き、あるいは右手というと語弊があるかもしれませんが、右腕、右手の動きで何かわかったようなことはありましたか。
  377. T証人 右腕は、おじさんの方でなく、前の方に出ていました。
  378. 検察官1 前の方ということは、女子高生の方に出ていた、そういうことになりますか。
  379. T証人 はい、そうです。
  380. 検察官1 それは見えたわけですか。
  381. T証人 はい、わかりました。
  382. 検察官1 手の先までは見えなかったけれども、腕がそちらの方へいっているのは見えたと、そういうことになりますか。
  383. T証人 はい、そうです。
  384. 検察官1 そのときのおじさんの体勢はどんな感じでしたか。
  385. T証人 右に重心がかかっているのが見えました。
  386. 検察官1 おじさんの右手が、そのとき、つり革をつかんでいたというようなことはありますか。
  387. T証人 ありません。
  388. 検察官1 おじさんの右手の先については見える位置にいなかったということでしたよね。
  389. T証人 はい。
  390. 検察官1 それなのに、どうしておじさんの右手がつり革をつかんでいなかったといえるのですか。
  391. T証人 つり革をつかんでいれば、右手が上がっているはずなので、それはわかる位置にいました。
  392. 検察官1 右手を上に上げているような場面はなかったと、そういうことですか。
  393. T証人 はい。
  394. 検察官1 あなたとしては、おじさんの右手はどうなっていると思っていましたか。
  395. T証人 痴漢をしているだろうと確信した後は、右手もそういうことをしているのではないかというふうに考えました。
  396. 検察官1 つまり、右手も、左手と同じように、女子高生の体をさわっているのではないかと思った、そういうことですか。
  397. T証人 はい、そうです。
  398. 検察官1 その右手については、あなたは見ていたわけではなくて、推測でそう思ったと、そういうことになるわけですね。
  399. T証人 はい、そうです。
  400. 検察官1 おじさんは、少なくともあなたが見た範囲で、左手で女子高生の体をさわっていたということなんですけれども、そのとき、おじさんはどういう顔をしていましたか。
  401. T証人 少しうつろな目をしていました。
  402. 検察官1 ぼうっとしたような感じですか。
  403. T証人 はい、そうです。
  404. 検察官1 あなたはそのとき、おじさんの顔をはっきりと見たのですか。
  405. T証人 はい、見ました。
  406. 検察官1 なぜあなたはそのとき、おじさんの顔をはっきりと見たのですか。
  407. T証人 私が注視することで、おじさんの方がそういった行為をやめないかというふうに考えました。
  408. 検察官1 それで、おじさんの顔をじっと見たりもしたと、そういうことになるわけですか。
  409. T証人 はい、そうです。
  410. 検察官1 あなたがその痴漢行為を目撃していた間、女子高生の方はどういう顔をしていたかわかりますか。
  411. T証人 はっきりとは覚えていませんが、困惑したような表情をしていました。
  412. 検察官1 その間、女子高生があなたの方を見て、あなたも見て女子高生と目が合ったということもあったのですか。
  413. T証人 はい、ありました。
  414. 検察官1 女子高生はどうしてあなたの方を見たんだと考えましたか。
  415. T証人 助けを求めているんじゃないかという考えはありました。
  416. 検察官1 さて、あなたとしては、しばらくおじさんと女子高生の様子に注目していて、結局のところ、おじさんが女子高生に痴漢行為を働いているのに間違いないと確信したと、そういうことになるわけですね。
  417. T証人 はい、そうです。
  418. 検察官1 それで、あなたはどうしたのですか。何か具体的な行動を起こしたりしましたか。
  419. T証人 注意しようとは考えましたが、なかなかできずにいました。
  420. 検察官1 注意しようというのは、おじさんに注意しよう、やめなさいと注意しようと、そういうことですか。
  421. T証人 はい、そうです。
  422. 検察官1 女子高生に声をかけて助けてあげようとか、そういうことは考えませんでしたか。
  423. T証人 それもありました。
  424. 検察官1 実際にはそうはしなかったということですか。
  425. T証人 はい、そうです。
  426. 検察官1 先ほども少し証言されましたけれども、おじさんの痴漢行為をやめさせるために、おじさんの顔をじっと見るというぐらいのことはされたんですね。
  427. T証人 はい、そうです。
  428. 検察官1 ただ、それ以上に声をかけたり、具体的な行動として、おじさんに注意をしたり、女子高生を助けたりしたということはなかったと、そういうことになるわけですか。
  429. T証人 はい、そうです。
  430. 検察官1 あなたとしては、痴漢行為だと確信したのに、なぜおじさんに注意したり、女子高生を助けたりしなかったのでしょうか。
  431. T証人 注意したことで、相手が暴れしたりしたら嫌だなというふうには考えました。また、注意しても、女子高生の方が自分に賛同してくれなかったら困るなというふうにも考えました。
  432. 検察官1 今、女子高生が自分に賛同してくれなかったらということをおっしゃっていたのですが、あなたとしては、これは女子高生は、痴漢の被害に遭っているに違いないと確信していたわけでしょう。
  433. T証人 はい。
  434. 検察官1 どうして女子高生が賛同してくれない可能性もあるというふうに考えたのですか。
  435. T証人 痴漢されたことを恥ずかしがってなかなかいえずに、いえなくなってしまうといったことです。
  436. 検察官1 そういうことも考えると不安になったと、そういうことですか。
  437. T証人 はい、そうです。
  438. 検察官1 あなたは、おじさんが女子高生に痴漢行為を働いたということに確信が持てないために、それで注意したり、助けたりすることができなかったということではなかったのですね。
  439. T証人 はい、そうです。
  440. 検察官1 さて、その後、おじさんと女子高生はどうなったんですか。
  441. T証人 女子高生の方からおじさんに対して抗議をするという形になりました。
  442. 検察官1 具体的には、その女子高生はどういう言動をとったということになりますか。
  443. T証人 後ろに振り返って、最初の第一声はよく覚えていませんが、「何やっているんですか、子供の前で恥ずかしくないんですか」といったことをいっていました。
  444. 検察官1 そのほかに、女子高生がそのときにいっていたことで覚えていることはありますか。
  445. T証人 その後続けて「次でおりてください」というようなことをいっていました。
  446. 検察官1 そういうことをいっているときの女子高生の声はどんな感じでしたか。
  447. T証人 はっきりと毅然とした声でした。
  448. 検察官1 女子高生がそういう抗議をしているときに、ずっと毅然としたはっきりした声でいっていましたか。
  449. T証人 最後の方は涙まじりでした。
  450. 検察官1 いい終わった後はどうでしたか。
  451. T証人 泣き出してしまいました。
  452. 検察官1 一方、おじさんの方は、女子高生から抗議を受けてどうしたのですか。
  453. T証人 女子高生が振り向いた直後、後ろの方に下がって、乗車したドアとは反対のドアの方を向きました。
  454. 検察官1 まず女子高生が振り返ったあたりで、おじさんの左手はどうなったんですか。
  455. T証人 女子高生から離れました。
  456. 検察官1 それはそのあたりで痴漢行為自体は終わったと、そういうことになるわけですか。
  457. T証人 はい、そうです。
  458. 検察官1 それからおじさんは、後ろに下がったり、あるいはドアの方に向いたりしたと、そういうことになるのですか。
  459. T証人 はい、そうです。
  460. 検察官1 そのほかに、おじさんのそのころの言動で何か覚えていることはありますか。
  461. T証人 右手だか左だか忘れましたが、顔の前に上げて、女子高生と距離をはかるような動きをしました。
  462. 検察官1 そのほか、おじさんの動きで、あるいは言動で覚えていることはありますか。
  463. T証人 女子高生のいっている言葉に対してうなずくようなしぐさをしていました。
  464. 検察官1 女子高生に対しておじさんが何かいうといった場面はありましたか。
  465. T証人 「わかったから」というようなことをいっていたと思います。
  466. 検察官1 それは女子高生が抗議をしているころの話ですか。
  467. T証人 そうです。
  468. 検察官1 女子高生は抗議をして声を発した後、泣き出してしまったと、そういうことでしたね。
  469. T証人 はい、そうです。
  470. 検察官1 それはどういう感じで、どちらの方を向いて、どんな感じで泣き出してしまったのですか。
  471. T証人 抗議をしている場所で泣き出しました。
  472. 検察官1 泣き出した体勢というか、それはどんな感じだったのですか。顔を上げたまま涙をぼろぼろ流すとか、そういう感じですか。それともうつむいたり、顔を押さえたりとか、そのあたりはどうですか。
  473. T証人 うつむいて顔を押さえていたと思います。
  474. 検察官1 女子高生が顔を押さえて泣き始めてからのおじさんの言動で何か覚えていることはありますか。
  475. T証人 余り記憶にありません。
  476. 検察官1 余り記憶にないですか。
  477. T証人 はい。
  478. 検察官1 泣き出してしまった女子高生の方におじさんが近寄っていったとかということはありませんでしたか。
  479. T証人 女子高生が泣き出した位置から少し戻って、後ろの方に向いたときに、おじさんの方が近寄って、何か話しかけようとしたしぐさ、動きはありました。
  480. 検察官1 おじさんは女子高生に対して、自分は何もしてないんだとか、人違いだとか、そういうことはいっていませんでしたか。
  481. T証人 そういった話の内容については聞き取れませんでした。
  482. 検察官1 その後おじさんや女子高生はどうなったんですか。
  483. T証人 車両の前方の方から私服の男性があらわれて、女子高生に話しかけました。
  484. 検察官1 今、私服というふうにおっしゃったのですが、要はスーツとかそういうものではないということですか。
  485. T証人 はい、そうです。
  486. 検察官1 スーツではない服装をしたということになりますか。
  487. T証人 はい、そうです。
  488. 検察官1 その男性が女子高生に近づいて、それからどうなったんですか。
  489. T証人 女子高生と幾つか言葉を交わしていました。
  490. 検察官1 その話の内容というのはわかりますか。
  491. T証人 いえ、わかりません。
  492. 検察官1 女子高生はその男性に対してどういう態度をとっていましたか。
  493. T証人 話している中でうなずいているようなしぐさは見えました。
  494. 検察官1 それから、どうなりましたか。
  495. T証人 話しかけた男性がおじさんのネクタイをつかみました。
  496. 検察官1 その男性乗客はおじさんに何かいいましたか。
  497. T証人 「逃げるな」みたいなことをいったように思います。
  498. 検察官1 「次の駅でおりるように」というようなことはいっていませんでしたか。
  499. T証人 そういった内容もありました。
  500. 検察官1 それに対して、おじさんの方は、その男性乗客に対して何かいっていましたか。
  501. T証人 「逃げないから」というようなことをいっていました。
  502. 検察官1 おじさんは、その男性乗客に対して、自分は何にもしてないんだとか、人違いなんだとか、そういうことはいっていませんでしたか。
  503. T証人 そういった内容については聞こえませんでした。
  504. 検察官1 少なくともあなたが聞いている範囲では、そういうことは聞こえなかった、そういうことですか。
  505. T証人 はい、そうです。
  506. 検察官1 あなた自身は、そのとき女子高生に声をかけたり、おじさんに声をかけたり、あるいはおじさんのネクタイをつかんだ男性乗客に声をかけたり、そういうことはしなかったのですか。
  507. T証人 はい、しませんでした。
  508. 検察官1 なぜしなかったのですか。
  509. T証人 女子高生の方から注意したということで、現場を見ていながら何もできなかった自分が、体裁が悪いと感じました。また、男性が助けに入ったことで、もう大丈夫かなといった感じにはなりました。
  510. 検察官1 おじさんの態度についてはどうでしたか。
  511. T証人 自分の感覚では、したことを認めているようなイメージは受けました。
  512. 検察官1 それもあって大丈夫なんじゃないかと思った、そういうことになるのですか。
  513. T証人 はい、そうです。
  514. 検察官1 ただ、あなたとしては、そのとき、場合によっては痴漢行為の目撃者としてみずから名乗り出てやろうということも考えていたのですか。
  515. T証人 そういう考えはありました。
  516. 検察官1 例えばどういうことを考えたのですか。
  517. T証人 痴漢したことに対して否定をした場合です。
  518. 検察官1 それはそのおじさんが、自分はやっていないんだとかっていい出したらということですか。
  519. T証人 はい、そうです。
  520. 検察官1 いい出したらどうしようと思っていたのですか。
  521. T証人 やはり自分は見ていたということで名乗り出ようとは考えました。
  522. 検察官1 ただ、実際には、そういう場面というのは現実には起こらなかったと、そういうことになるわけですね。
  523. T証人 はい、そうです。
  524. 検察官1 その後、電車は品川駅を出てから10分ぐらいで京急蒲田駅に到着しましたね。
  525. T証人 はい、そうです。
  526. 検察官1 電車が京急蒲田駅に到着した後、女子高生やおじさん、あるいはおじさんのネクタイをつかんだ男性乗客、この人たちはどうなったんですか。
  527. T証人 京急蒲田駅でおりていきました。
  528. 検察官1 痴漢行為を働いていたおじさんは、どういうふうにして電車からおりていきましたか。
  529. T証人 ネクタイをつかまれたままおりていきました。
  530. 検察官1 当然そのネクタイをつかんでいた男性乗客も、そこで一緒に電車からおりていった、そういうことになるわけですね。
  531. T証人 はい、そうです。
  532. 検察官1 女子高生はどういうふうに電車をおりていったか覚えていますか。
  533. T証人 それは覚えていません。
  534. 検察官1 ただ、京急蒲田駅で女子高生がおりたことは間違いないですか。
  535. T証人 はい。
  536. 検察官1 それはどうしてわかるのですか。
  537. T証人 その後の車内に女子高生がいなかったからです。
  538. 検察官1 あなた自身は、京急蒲田駅で電車をおりたりはせずに、そのまま電車に乗っていたのですか。
  539. T証人 はい、そうです。
  540. 検察官1 おじさんやそのネクタイをつかんでいた男性乗客、その人たちは、電車をおりてからどうなったかということは、電車の中からある程度見えましたか。
  541. T証人 はい、見えました。
  542. 検察官1 あなたが見た限りで結構なんだけれども、どういうことがありましたか。
  543. T証人 電車をおりた直後のホームで、おじさんが逃げるようなそぶりをした形になりました。
  544. 検察官1 具体的にいうと、ネクタイをつかんでいた男性乗客はどちらの方へ行こうとしたのですか。
  545. T証人 電車の進行方向と同じ方向に移動していました。
  546. 検察官1 それに対しておじさんの方はどうしようとしたのですか。
  547. T証人 体勢がその反対方向に崩れているような感じでした。
  548. 検察官1 男性乗客はおじさんに何かいうような場面はありましたか。
  549. T証人 「逃げるな」というようなことをいっていました。
  550. 検察官1 そのあたりまでは見ていたと、そういうことになるわけですか。
  551. T証人 はい、そうです。
  552. 検察官1 その後、電車は京急蒲田駅を出たのですね。
  553. T証人 はい、そうです。
  554. 検察官1 そしてあなたは、その電車にそのまま乗って、K駅まで帰ったと、そういうことになるわけですね。
  555. T証人 はい、そうです。
  556. 検察官1 あなたは電車が京急蒲田駅を出た後、どういうような気持ちでその電車に乗っていたのですか。
  557. T証人 自分が注意できなかったことに対して後悔していました。
  558. 検察官1 それで、あなたはどうしたのですか。
  559. T証人 友人に、起きたことをメールしました。
  560. 検察官1 その後悔の気持ちを紛らわそうとしたと、そういうことですか。
  561. T証人 はい、そうです。
  562. 検察官1 携帯電話を使ってお友達に電子メールを送ったと、そういうことですね。
  563. T証人 はい、そうです。
  564. 検察官1 お友達というのは何という名前の人ですか。
  565. T証人 W○です。
  566. 検察官1 Wさんの字は、Wは普通のWで、○さんの○というのはどういう字を書きますか。
  567. T証人 「○○」の「○」です。
  568. 検察官1 あなたとはどのような関係にあるお友達ですか。
  569. T証人 高校からの友人です。
  570. 検察官1 そのとき、あなたがお友達に送信した電子メールの内容はどのようなものだったのですか。
  571. T証人 電車の車内で痴漢があったこと、自分がそれを見ていたこと、自分がそれを注意できなかったことです。
  572. 検察官1 それを後悔しているんだというような内容だったと、そういうことですか。
  573. T証人 はい、そうです。
  574. 検察官1 あなたがそのメールを送ったのは、その日、京急蒲田駅からK駅まで帰る電車の中でのことだったのですか。
  575. T証人 はい、そうです。
  576. 検察官1 そのメールを送ったのは、電車がどのあたりを走っているころですか。
  577. T証人 横浜駅に差しかかっているあたりだと思います。
  578. 検察官1 その辺は、記憶ははっきりしていますか。
  579. T証人 はっきりと横浜あたりだとは覚えていませんが、大体そのあたりだった気がします。
  580. 検察官1 その程度の記憶ですか。
  581. T証人 はい。
  582. 検察官1 そのお友達からは、すぐにメールの返信がありましたか。
  583. T証人 はい、ありました。
  584. 検察官1 お友達からのメールの内容はどういうものだったのですか。
  585. T証人 自分が打った内容に対して慰めるというような内容でした。
  586. 検察官1 もう少しだけで結構ですが、具体的にいうと、どういうふうにして慰めていた内容だったのですか。
  587. T証人 自分が、友人が実際その現場にいても、注意できるかわからないといった内容でした。
  588. 検察官1 本日請求をして取り調べをいただきました甲24号証から31号証までを示します。同じものですので。  これらの写真が何であるかわかりますか。
  589. T証人 はい。
  590. 検察官1 何ですか。
  591. T証人 私の携帯電話とメールです。
  592. 検察官1 あなたの携帯電話とメールということですが、それはこの9月13日、あなたが電車の中からお友達に送ったメール、あるいはそれに対してお友達から返信されてきたメールが写っていると、そういうふうに聞いてよろしいですか。
  593. T証人 はい、そうです。
  594. 検察官1 まず甲24号証を示しますが、これはあなたの携帯電話を撮影したものですね。
  595. T証人 はい、そうです。
  596. 検察官1 次に、甲25号証、26号証、27号証、28号証を示しますけれども、この4つですけれども、これはあなたがお友達に送信した電子メールの内容画面を撮影したものですね。
  597. T証人 はい、そうです。
  598. 検察官1 その表示によれば、9月13日の22時39分に、○○○さんあてに送られたメールのようですが、それで間違いありませんか。
  599. T証人 はい、そうです。
  600. 検察官1 そのとき送ったメールの内容もこのとおりだったわけですね。
  601. T証人 はい、そうです。
  602. 検察官1 さらに甲29号証、30号証、31号証を示しますが、これらはその後、お友達からあなたへと返信された電子メールの内容画面を撮影したものですね。
  603. T証人 はい、そうです。
  604. 検察官1 この表示によれば、9月13日の22時55分に○○○さんから送られてきたというもののようですが、それで間違いないですか。
  605. T証人 はい、そうです。
  606. 検察官1 これらの電子メールは、9月13日以降、現在まで、ずっとあなたの携帯電話にそのデータが保存されたままになっているのですか。
  607. T証人 はい、なっていたと思います。
  608. 検察官1 もちろん、これらのメールのデータの内容を、後から書きかえたり、つけ加えたり、一部削除したというようなことは一切ありませんね。
  609. T証人 はい、していません。
  610. 検察官1 これらの今見ていただいた写真、この写真の撮影は、いつ、どこで、だれが行ったものかわかりますか。
  611. T証人 はい、わかります。
  612. 検察官1 いつ、どこで、だれが行ったことですか。
  613. T証人 12月18日に地方検察庁でK検事が撮影したものです。
  614. 検察官1 あなたもその場所に居合わせたと、そういうことになりますね。
  615. T証人 はい、そうです。
  616. 検察官1 さて、結局のところ、あなたは9月13日の夜、電車の中で痴漢行為を目撃したんだけれども、その場では、みずから名乗り出たりしなかったということでしたね。
  617. T証人 はい、そうです。
  618. 検察官1 しかし、その後、あなたは警察に、自分が目撃者だと名乗り出て、捜査に協力をしたのですね。
  619. T証人 はい、そうです。
  620. 検察官1 その経緯を教えてもらいたいのですけれども、まず翌日の9月14日、どういうことがあったのですか。
  621. T証人 友人からメールが来ました。
  622. 検察官1 どういう内容のメールでしたか。
  623. T証人 きのうの事件の犯人が植草元教授じゃないかといった内容です。
  624. 検察官1 それで、あなたはどうしましたか。
  625. T証人 最初はそうなのかなといった程度で返しました。
  626. 検察官1 あなた自身で、例えばテレビを見たり、インターネットで調べたりして、そうなのかどうか調べたりしたのですか。
  627. T証人 はい、しました。
  628. 検察官1 どうしたのですか。
  629. T証人 インターネットでヤフーニュースを見ました。
  630. 検察官1 それは9月14日に見たということですか。
  631. T証人 はい、そうです。
  632. 検察官1 どういうことが記事として載っていましたか。
  633. T証人 13日に京急の電車で痴漢が発生したこと、その犯人、捕まったのが植草元教授だったことが書いてありました。
  634. 検察官1 そのときに、その犯人とされている植草元教授が、事件のことについてどういうふうにいっているかというようなことについての記事が載っていましたか。
  635. T証人 はい、ありました。
  636. 検察官1 どういうふうに書かれていましたか。
  637. T証人 覚えていないといったことをいっていると書いてありました。
  638. 検察官1 その後、さらにインターネットなどで、事件についての報道を見るというような機会がありましたか。
  639. T証人 はい、ありました。
  640. 検察官1 いつありましたか。
  641. T証人 その翌日です。
  642. 検察官1 9月15日ですね。
  643. T証人 はい、そうです。
  644. 検察官1 何を見たのですか。
  645. T証人 同じ事件の記事に対して……。
  646. 検察官1 何を見たのですかというのは、例えばテレビを見たとか、新聞を見たとか。
  647. T証人 インターネットのヤフーニュースです。
  648. 検察官1 どういうことが書かれていましたか。
  649. T証人 同じ事件に対して、植草元教授が、自分はやっていないといった発言をしているといった内容でした。
  650. 検察官1 それで、あなたはどう思いましたか。
  651. T証人 そんなことはないと思いました。
  652. 検察官1 それで、あなたはどうしようと思ったのですか。
  653. T証人 自分が見たことを警察にいおうと思いました。
  654. 検察官1 それで、あなたはどうしましたか。
  655. T証人 京急のコールセンターに問い合わせました。
  656. 検察官1 どうして京浜急行のコールセンターに電話をしたのですか。
  657. T証人 担当の警察がわからなかったからです。
  658. 検察官1 それで、京浜急行のコールセンターで担当の警察署を教えてもらったのですか。
  659. T証人 はい、そうです。
  660. 検察官1 それで、あなたはどうしたのですか。
  661. T証人 蒲田署へ電話しました。
  662. 検察官1 それが9月15日だったと、そういうことになりますか。
  663. T証人 はい、そうです。
  664. 検察官1 実際、その後、あなたは蒲田警察署に出向いていって、刑事さんに事件を目撃した状況について詳しくお話をしたということがあったのですか。
  665. T証人 はい、ありました。
  666. 検察官1 それはいつのことでしたか。
  667. T証人 その翌日です。
  668. 検察官1 9月16日ということですか。
  669. T証人 はい、そうです。
  670. 検察官1 ところで、あなたは、今回痴漢事件を目撃する前の時点で、元大学教授の植草一秀という人物を知っていましたか。
  671. T証人 はい、ある程度知っていました。
  672. 検察官1 どういうことで知っていましたか。
  673. T証人 前回の事件で報道されていた程度です。
  674. 検察官1 前回の事件というのは、平成16年ごろに品川駅で手鏡を使った痴漢行為をしたということで検挙されたその事件のことですか。
  675. T証人 はい、そうです。
  676. 検察官1 そういうことでテレビなどで顔を見たことはありましたか。
  677. T証人 そのときに報道で流れた程度は見ました。
  678. 検察官1 逆にいえば、それぐらいしか見てなかったと、そういうことになるわけですか。
  679. T証人 はい、そうです。
  680. 検察官1 特にこの植草という人に注目したりしていたということではないわけですか。
  681. T証人 はい、そうです。
  682. 検察官1 今回、9月13日の夜に、電車の中でおじさんが女子高生に痴漢行為を働いている場面を目撃したとき、すぐにそのおじさんが植草一秀だということに気づきましたか。
  683. T証人 いえ、わかりませんでした。
  684. 検察官1 その後になって、あなたは先ほど証言されたように、お友達からメールが来たり、あるいはインターネットで確認したりして、あのおじさんがどうやら植草だったらしいというふうにわかりましたよね。
  685. T証人 はい。
  686. 検察官1 それがわかって、あなたはどう思いましたか。
  687. T証人 いわれてみれば、そうかもしれないというふうに思いました。
  688. 検察官1 先ほどあなたは、9月13日の夜に、電車の中で見た痴漢行為を働いたおじさん、それは右横にいる被告人だと、そういうふうにいいましたよね。
  689. T証人 はい。
  690. 検察官1 それは間違いないのですか。
  691. T証人 ないと思います。
  692. 検察官1 終わります。
  693. 検察官2 検察官のKから1点伺います。  先ほどあなたは、被害者の女子高生が後ろを振り返って、おじさんに「やめてください」というふうに抗議をしてきたということですけれども、その後のおじさんの行動の中で、女子高生に対し、距離をはかるようなそぶりをしたということをいいましたね。
  694. T証人 はい。
  695. 検察官2 距離をはかるというのは具体的にどういう状況だったのですか。
  696. T証人 左手か右手かは覚えてないのですが、目の前に手を出す、手のひらを出すといったような状況です。
  697. 検察官2 目の前というのは、おじさんの目の前ということですね。
  698. T証人 はい、そうです。
  699. 検察官2 おじさんの体のどのあたりというのは、体からいくと、どのあたりということになるのですか。
  700. T証人 顔のあたりです。
  701. 検察官2 わかりました。  以上です。
  702. 神坂裁判長 それでは、反対尋問、どうぞ。
  703. 弁護人B 弁護人の弁護人Bからお聞きします。  まず、あなたは9月13日の午後10時8分発の電車に乗り込んだということですが、あなたが通った京急の改札口は、JRと京急の乗りかえ口だったということでよろしいですか。
  704. T証人 はい、そうです。
  705. 弁護人B スイカとパスネットの両方を通すところですね。
  706. T証人 はい、そうです。
  707. 弁護人B あなたが京急の改札を通ったときには、既にその10時8分発の電車はホームにとまっていたんですか。
  708. T証人 はい、そうです。
  709. 弁護人B あなたが当日その電車に乗り込んだときには、何両目かはっきり覚えていなかったんですね。
  710. T証人 はい、そうです。
  711. 弁護人B 後ほど警察や検察官から確認されて、3両目というのがわかったということですか。
  712. T証人 はい、そうです。
  713. 弁護人B あなたがその車両に乗り込んだ際、既に電車のとびらは開いていたんですか。
  714. T証人 はい、そうです。
  715. 弁護人B 改札を通ったときには開いていましたか。
  716. T証人 それはよく覚えていません。
  717. 弁護人B あなたがその3両目の車両にたどり着いたときに、他の乗客は乗車を始めていましたか。
  718. T証人 はい、始めていました。
  719. 弁護人B あなたが電車に乗り込む際、あなたは他の乗客が乗り込むのを待って、続いて乗車したのか、それとも全く待たずに、たどり着いてそのまま乗り込んだのか、どちらでしょうか。
  720. T証人 並んでいた乗客の後ろに続く形です。
  721. 弁護人B あなたの前に並んでいた乗客は何人ぐらいいましたか。
  722. T証人 もう乗り込んでいる方もいたので、詳しく覚えていませんが、10人ぐらいはいたと思います。
  723. 弁護人B 10人ぐらいあなたの前に並んでいたのですか。
  724. T証人 はい。
  725. 弁護人B 何列で待っていましたか。
  726. T証人 乗り込んでいる途中だったので、列もばらけていましたが、3列ぐらいだったと思います。
  727. 弁護人B あなたが乗り込み、そのあなたの直前の人、これはどんな人でしたか。
  728. T証人 直前の人はちょっと覚えていません。
  729. 弁護人B 男性か女性かも覚えていませんか。
  730. T証人 はい。
  731. 弁護人B あなたが乗り込んだ後、電車が発車するまでに何人が乗り込んできましたか。
  732. T証人 後ろから2〜3人だと思います。
  733. 弁護人B 2人か3人かははっきりしませんか。
  734. T証人 ちょっと覚えていません。
  735. 弁護人B その乗ってきた人の性別とか身長とか、そういうものは覚えていますか。
  736. T証人 1人は女性であることを覚えています。
  737. 弁護人B ほかの人については余り覚えてないですか。
  738. T証人 はい。
  739. 弁護人B その女性については、身長はどのぐらいでしたか。
  740. T証人 ちょっと思い出せません。
  741. 弁護人B 髪型についてはどうですか。
  742. T証人 長くはなかったと思います。
  743. 弁護人B 服装について思い出せますか。
  744. T証人 それも余り詳しくは思い出せません。
  745. 弁護人B あなたは初めに警察でお話をしたときに、他の乗客に並んで、続いて乗ったというふうにいったか、そのまま駆け足で乗り込んだか、何というふうにいったか覚えていますか。
  746. T証人 ちょっと正確には覚えてないです。
  747. 弁護人B 人が並んでいないところに駆け足で乗り込んだ。
  748. 検察官1 異議です。そういうふうに書いてないと思いますけれども、もう一度ごらんになってください。
  749. 弁護人B そのとおり書いてあると思います。もう一度質問します。
  750. 検察官1 改札口から余り人が並んでいないというふうに書いてあると思うのですが、違いますか。
  751. 弁護人B じゃ、そのとおり聞き直します。あなたは警察でお話をしたときに、改札口から余り人が並んでいない、改札から左方向の車両に駆け足で乗り込んだ、こういうふうにお話ししたというふうに記憶していますか。
  752. T証人 はい、記憶しています。
  753. 弁護人B 今、並んで乗り込んだというふうにおっしゃいましたけれども、どちらが正しいんですか。
  754. 検察官1 異議です。どちらが正しいのか別に矛盾してないと思うのです。そごしてないと思うのですけれども。
  755. 弁護人B いや、並んで乗り込んだということと、そのまま駆け足で乗り込んだというのは違うと思います。
  756. 検察官2 そのままとは書いてない。
  757. 神坂裁判長 先ほどの尋問で、あなたより前に10人くらい人が並んでいたというふうに証言されましたね。
  758. T証人 はい。
  759. 神坂裁判長 警察での取り調べでは、余り人が並んでいないドアに行き、そのドアに回って乗ったというふうに供述調書には記載されているのですね。
  760. T証人 はい。
  761. 神坂裁判長 あなたの感覚では、10人ぐらい並んでいたということは、余り人が並んでいないドアというふうに思えたんですか、その当時。
  762. T証人 改札を通って正面のところには、人はもっと並んでいるように見えました。
  763. 神坂裁判長 人が並んでいる幾つかのドアの中では、人が並んでいないドアというふうに当時思ったということですか。
  764. T証人 はい、そうです。
  765. 神坂裁判長 証言の趣旨はそういうことですけれども、さらに尋問されますか。
  766. 弁護人B 今のところで1点だけ。乗り込んだ、今思い出してみてということで結構ですけれども、今思い出してみて、あなたが乗り込んだドアには、10人ぐらい人が並んでいたということは間違いないですね。
  767. T証人 そうだと思います。
  768. 弁護人B あなたが乗車して立っていた位置というのは、先ほど紙に書き込んだ位置ということで間違いないですね。
  769. T証人 はい、そうです。
  770. 弁護人B あなたは乗車してから、乗ってきたドアと反対のドアの方を向いていたということも間違いないですね。
  771. T証人 はい、そうです。
  772. 弁護人B あなたはずっとその方向を向いていたのですか。
  773. T証人 はい、そうです。
  774. 弁護人B あなたは電車に乗ってから中づりの広告を見ていたということですね。
  775. T証人 はい、そうです。
  776. 弁護人B どんな広告を見ていたか覚えていますか。
  777. T証人 覚えていません。
  778. 弁護人B あなたは中づりの広告を見るほかは何をしていたのですか。
  779. T証人 特に何をしていたというわけではないと思います。
  780. 弁護人B あなたは品川からK(地名)まで乗っていたということになりますか。
  781. T証人 はい、そうです。
  782. 弁護人B ほぼ毎日同じ経路で帰っているということでしょうか。
  783. T証人 はい、そうです。
  784. 弁護人B 品川からK(地名)までは何分ぐらいかかるんですか。
  785. T証人 40分ぐらいだと思います。
  786. 弁護人B あなたは毎日電車の中で、その40分というのはどのようにして過ごすのですか。
  787. T証人 特に何をして過ごしているというわけでもないと思います。
  788. 弁護人B メールをして過ごすということはよくあるのですか。
  789. T証人 何か用件があればそういうこともあると思います。
  790. 弁護人B 音楽を聞いて電車の中で過ごすということはあるのですか。
  791. T証人 ありません。
  792. 弁護人B 本や雑誌を読んでいるということはないんですか。
  793. T証人 たまにあります。
  794. 弁護人B 当日はなかったですか。
  795. T証人 はい、ありません
  796. でした。
  797. 弁護人B かわります。
  798. 弁護人A では、弁護人の弁護人Aからお聞きします。  まず、きょう検察官の質問に対して、被害者とされる女性、それから被告人、それとあなたと被害者、被告人との間にいた女性の位置というのを書き込まれましたね。
  799. T証人 はい。
  800. 弁護人A 警察や検察庁でもそういう図面を書いたりしたということはありますか。
  801. T証人 はい、書きました。
  802. 弁護人A そこに書き込んだ人というのは、警察や検察で書いたときと、きょう書いたときとで、人数とか場所は違いがあるかどうかというのは何かわかりますか。
  803. T証人 人数は違います。
  804. 弁護人A もっと多い人を書いたということですか。
  805. T証人 はい、そうです。
  806. 弁護人A それは大体どのくらいの人を書いたかというのは覚えていますか。
  807. T証人 大体は覚えています。
  808. 弁護人A 甲4号証に添付されている再現現場見取り図、先ほど検察官が示されたものと同じものですが、その中で、ちょっと邪魔になると考えたので、長さをはかっている線であるとか、その数字を消したものを示したいのですが。
  809. 神坂裁判長 ちょっとそれを検察官に示してください。長さを消してあるそうです。
  810. 検察官1 こちらは入っていますけれども。
  811. 弁護人A それは邪魔にならないので。
  812. 検察官1 はい。
  813. 弁護人A こちらに、では黒のペンで、あなたがまず警察で説明したときに、どのように説明したかという人物の配置というのを、今覚えている限りで書いてもらえますか。
  814. T証人 はい。
  815. 弁護人A まずあなたはどれですか。
  816. T証人 これです。
  817. 弁護人A 「私」というふうに書いてもらっていいですか。
  818. T証人 はい。
  819. 弁護人A それから、あなたと、あなたの位置から、被害者とされる女性はどれですか。それは先ほどと同じで「V」で書いてもらえますか。
  820. T証人 はい。
  821. 弁護人A それから、あなたが被害者に痴漢を働いているというふうなのを見たという男性はどれですか。それを「A」にしてもらえますか。
  822. T証人 はい。
  823. 弁護人A あと、あなたとその被害者と被告人との間にいたというのが女性ですか。
  824. T証人 はい。
  825. 弁護人A それは「女」というふうに書いてください。
  826. T証人 はい。
  827. 弁護人A そのほか性別のわかる人はいますか。
  828. T証人 はい。
  829. 弁護人A それも性別を書いてください。
  830. T証人 はい。
  831. 弁護人A これは子供ですか。
  832. T証人 はい。
  833. 弁護人A 子供の「子」でいいです。男か女かは覚えてないですか、子供は。
  834. T証人 女の子だったという記憶です。
  835. 弁護人A これは大体座席の位置なんかもわかると思いますけれども、そのとおりで大体間違いないですか。
  836. T証人 はい。
  837. 神坂裁判長 ちょっとそこまででよろしいですか。
  838. 弁護人A はい。
  839. 神坂裁判長 はい、結構です。
  840. 検察官1 こちらもよろしいですか。
  841. 弁護人A はい。
  842. 神坂裁判長 確認させてもらいたいんですけれども、今記載したのは、あなたが警察でこのように書いたと思うという記憶に基づいて記載したと聞いてよろしいですか。
  843. T証人 はい、そうです。
  844. 神坂裁判長 そういうことですね。  はい、どうぞ。
  845. 弁護人A それでは質問を続けますが、そのとき、警察で書いてからきょうまでの間に、その警察で書いた図面というのは、あなたは見たことがありますか。
  846. T証人 見たという記憶はありません。
  847. 弁護人A 今はもうこういうふうな人がいたということをあなた自身は覚えてないんですか。
  848. T証人 この程度であれば覚えています。
  849. 弁護人A このぐらいの人がいたのを覚えていますか。
  850. T証人 はい。
  851. 弁護人A 先ほど向きを書いてもらった人以外の人、つまり、この「私」と間にいる女の人と被告者以外の人が、どちらを向いていたかというのを今覚えていますか。
  852. T証人 ちょっとわからないです。
  853. 弁護人A 個別に聞いて、例えばあなたと反対側のドアの近くにいる、図の中で、2人男の人がいますけれども、その右側の男の人、この人がどちらを向いていたかというのは覚えていますか。
  854. T証人 ちょっと覚えていません。
  855. 弁護人A 左側の人も覚えてないですか。
  856. T証人 はい。
  857. 弁護人A この右側の男の人というのは、スーツを着ていたかどうかというのは覚えていますか。
  858. T証人 スーツを着ていました。
  859. 弁護人A 左側の男の人はどうですか。
  860. T証人 スーツを着ていました。
  861. 弁護人A どんな色のスーツとか、そういうことは覚えていますか。
  862. T証人 それは覚えてないです。
  863. 弁護人A そこまでは覚えてないと。
  864. T証人 はい。
  865. 弁護人A スーツを着ていたというのはサラリーマン風なんですか。
  866. T証人 はい、そうです。
  867. 弁護人A 今確認した人の位置というのは、どの時点での位置ということになるんですか。つまり、電車に乗った後、あなたが女子高生と男性というのを認識した時点とか、あるいはその後、痴漢行為を確認した時点であるとか、あるいは女子高生がその痴漢行為について声を上げた後の時点、それはどの時点ということになるのでしょうか。
  868. T証人 この構成は余り始終変わらなかったように思います。
  869. 弁護人A 基本的に電車に乗っている間はこの位置ということですか。
  870. T証人 はい、そうです。
  871. 弁護人A 自分の前であるとか、あるいは注目していたというその被害者あるいは被告人以外の人の場所というのを覚えていたというのは、何か理由があるのですか。
  872. T証人 おじさんの後ろにいた女性に関しては、母親と子供連れだったので、その会話は聞こえてきたのは覚えています。詳しい内容までは覚えていません。私の斜め後ろにいる女性については、入ってくるときにちらっと見えたというのと、余りぶつからないように距離をはかろうとしたという記憶はあります。反対側のドアの近くにいる男性については、自分がそちらの方を向いていたので見えました。
  873. 弁護人A そのほかにあなたの位置から見えたけれども、覚えていない人とか、あなたの位置から見えなかったけれども、いた人というのもいるんですか。
  874. T証人 はい、大勢いると思います。
  875. 弁護人A ドアとドアの間のスペースといいますか、座席がないところがありますよね。
  876. T証人 はい。
  877. 弁護人A この部分には何人ぐらいの人がいたというような感じですか。
  878. T証人 私の後ろにもしかしたら人がいたかもしれませんが、余り覚えていません。
  879. 弁護人A 全部で何人ぐらいいたかもわからないと。
  880. T証人 はい。
  881. 弁護人A では、事件の内容についてお聞きしますけれども、まずこの事件、電車の中で痴漢の事件を見るまでというのは、被害者の女性というのはあなたは見たことがありますか。
  882. T証人 電車に乗る前に、女子高生がいるなというのは気づいていました。
  883. 弁護人A あなたより前にいたわけですか。
  884. T証人 はい。
  885. 弁護人A その人、女子高生がいるなと思った女子高生と、今回乗った女子高生が同じ人かどうかはわからないですか、被害に遭った女性。
  886. T証人 正確にはわからないです。
  887. 弁護人A あなたはほかには、この車両のあなた付近には、この被害に遭ったという女子高生以外の女子高生が乗っているというのは何か知っていますか。
  888. T証人 知りません。
  889. 弁護人A 電車に乗る前にその女子高生を見たという以前は見たことはないんですか。
  890. T証人 何をでしょうか。
  891. 弁護人A その女子高生。
  892. T証人 見ていません。
  893. 弁護人A その日初めて見た人ということですか。
  894. T証人 はい、そうです。
  895. 弁護人A それから、あなたが警察や検察庁で話していたときは、被害者の後ろにいた男性というのがいると思うのですけれども、それが今回被告人であるという話だったと思うのですけど、あなたは、その後ろにいる男性というのは、初めてこの男性がいるなと認識したのはいつですか、電車の中で。
  896. T証人 それは電車に乗って間もなくです。
  897. 弁護人A その男性が電車に乗る前であるとか、あるいはあなたが乗ったとき、既に乗っていたとか、そういうことはわかりますか。
  898. T証人 わかりません。
  899. 弁護人A その男性を最初に見たとき、つまり、被害者の後ろにいて、痴漢行為をしているのではないかとあなたが最終的に思った人、その男性を初めて見たとき、あなたがその男性を最初に見て、容姿とか姿形について何か記憶に残っていることというのはありますか。
  900. T証人 はい、あります。
  901. 弁護人A どんなことですか。
  902. T証人 重心が右に傾いていて変な格好というか、変な格好をしているなというふうに思いました。
  903. 弁護人A 服装や髪型とか、そういうことでは何か記憶に残っていることはありますか。
  904. T証人 服装はスーツを着ているというぐらいで、特に記憶はありません。
  905. 弁護人A 先ほどの重心が右に傾いているというお話なんですが、いまいちイメージができないんですけれども、体自体が傾いているのですか。
  906. T証人 やや傾いていました。
  907. 弁護人A やや。
  908. T証人 はい。
  909. 弁護人A 話がまた飛ぶんですけれども、先ほどの主尋問の中で、あなたがドアからドアにかけてのつり革を持っていたという話だったのですけれども、それはこの電車の中のドアとドアの間の部分というのは、まず、つり革が座席と座席の間にあるんですよね。
  910. T証人 はい。
  911. 弁護人A それから座席と座席というのもよくわからないのですけれども、ドアと並行にある部分と、それからドアとドアの間に垂直というか、ドアに対して垂直にあるつり革とある。あなたが持っていたというのはその垂直にあるつり革ですか。
  912. T証人 はい、そうです。
  913. 弁護人A 要はドアとドアに対して垂直に並んでいるつり革、そのつり革も幾つかあると思うのですけれども、どのあたりの位置というのは覚えていますか。
  914. T証人 一番乗車口に近いものです。
  915. 弁護人A あなたはドアに対して全く並行にというか、入ってきたドアに背を向けて立っていたということですか。
  916. T証人 はい、そうです。
  917. 弁護人A どちら側かに斜めになっていたということはないんですか。つまり、ちょっと進行方向に向いているとか、あるいはちょっと進行方向に対して後ろを向いているとか、そういうことはないですか。
  918. T証人 なかったと思います。
  919. 弁護人A 進行方向に対して真横ということですか。
  920. T証人 はい。
  921. 弁護人A それから、先ほどあなたと被害者、あるいはその後ろにいた男性との間にいる女性について、顔はよく見てないというお話だったと思うのですけれども、これはあえて見ていなかったということなんですか。つまり、見えない位置にあったのか、全く見てなかったのかという意味では、どちらが正しいんでしょうか。
  922. T証人 のぞき込むようなことはしませんでした。側面は見えたと思いますが、顔の詳しい感じがわかるような位置ではありませんでした。
  923. 弁護人A あなたの右前方に立っているんですよね。
  924. T証人 はい。
  925. 弁護人A あなたの位置との関係でいうと、あなたの方には左肩を向けているような感じなんですか。
  926. T証人 そうだと思います。
  927. 弁護人A 図面では書いてもらったのですけれども、あなたとその女性との距離というのはどのくらい離れているのですか。例えば女性の左肩とあなたの体の一番近い部分、これはどのくらい離れていたのですか。
  928. T証人 数十センチだと思います。
  929. 弁護人A 数十センチというと、かなり幅が広いと思うのですけれども、例えば今いる私の位置とあなたの位置よりも近いですか。
  930. T証人 近いです。
  931. 弁護人A もっと近いと。
  932. 神坂裁判長 それではわかりません。
  933. 弁護人A 済みません。そうすると、例えば私のひじから手の先までという部分、このぐらいというよりもっと近いですか。
  934. T証人 ……。
  935. 検察官1 済みません。ちょっとはかっていただかないと。
  936. 神坂裁判長 済みません、ちょっとよろしいですか。そういう不確定な位置でやるとあれですから、今あなたが座っている証言台の一番前のふち、前側のふちがありますよね。
  937. T証人 はい。
  938. 神坂裁判長 その位置よりも近いですか。
  939. T証人 女性の方が近いですね。
  940. 神坂裁判長 もっと近いと。
  941. T証人 はい。
  942. 神坂裁判長 そうすると、今の位置を計測してもらえますか。
  943. 裁判所職員 ちょうど70センチです。
  944. 神坂裁判長 70センチ。もう少し近いんですね。
  945. T証人 はい。
  946. 神坂裁判長 それを基準にして、半分くらいとか、3分の2くらいとか、あるいはもっと近いとかいえますか。
  947. T証人 このあたりだったと思います。肩がここら辺にあるということです。
  948. 弁護人A ここというのはここですか。
  949. T証人 そうです。この真っすぐになっているところ。
  950. 神坂裁判長 証言台の肩があったと思われる付近の位置に指を置いてもらえますか。
  951. T証人 はい。
  952. 神坂裁判長 じゃ、証人の体からの長さを計測してください。
  953. 検察官1 右肩から。
  954. 神坂裁判長 右。
  955. 検察官1 わかりませんけれども、弁護人の尋問だと思いますので、どこからはかってくださいとかいえばいいのではないかと思います。
  956. 神坂裁判長 弁護人の方から指示してもらえますか。
  957. 弁護人A はい。まずあなたがこちらを向いているときに、女性の左肩というのはどこら辺にあったということですか。
  958. T証人 ここら辺です。
  959. 弁護人A この辺でもうさわれるということですか。
  960. T証人 そうです。
  961. 弁護人A 指先ですか。手のひらですか。
  962. T証人 手のひらです。
  963. 弁護人A 手のひらのあたり。このあたり。
  964. T証人 はい。
  965. 弁護人A ここを計測してもらっていいですか。要はあなたのネクタイのあたり、ネクタイからの距離、ネクタイの結び目の位置からの距離をちょっと計測してください。
  966. 裁判所職員 40センチです。
  967. 弁護人A 40センチぐらい。あなたの体の中心ぐらいから40センチぐらい離れたところに肩があったということですね。
  968. T証人 はい。
  969. 弁護人A あなたに対しては大体45度ぐらいの角度にいたということですか。
  970. T証人 はい、大体です。
  971. 弁護人A 被害者というのはあなたの真っ正面にいたのですか。
  972. T証人 ほぼ真っ正面です。
  973. 弁護人A ほぼというと、どちらかにずれているということですか。
  974. T証人 自分の中心線から比較して多少前後というか左右はあると思います。
  975. 弁護人A 大体真っ正面ということですか。
  976. T証人 はい。
  977. 弁護人A 右側にずれているとか、左側にずれているというのははっきりしない。
  978. T証人 そうですね。
  979. 弁護人A 被害に遭った方というのは、あなたに対しては真横を向いているということになるんですか。
  980. T証人 はい、そうです。
  981. 弁護人A もっと正確にいうと、この図だと、あなたの左側を向いている。
  982. T証人 はい。
  983. 弁護人A あなたの左側を向いて真横に立っているということですか。
  984. T証人 はい。
  985. 弁護人A そうすると、被害者はあなたに対して右肩を向けている。
  986. T証人 左。
  987. 弁護人A 失礼。左肩を向けて立っているということですか。
  988. T証人 はい。
  989. 弁護人A その距離というのは大体わかりますか、どのくらいというのは。手を伸ばせば届くぐらいですか。
  990. T証人 届きはしないと思います。
  991. 弁護人A 届かない位置。先ほどはかったここの証言台の一番前、ここよりも遠いですか。
  992. T証人 そこら辺じゃないでしょうか。
  993. 弁護人A このあたりに肩があったぐらい。
  994. T証人 そうですね。はい。
  995. 弁護人A 先ほどはかったのと大体でいいんで。
  996. 神坂裁判長 70センチ。
  997. 弁護人A ええ。
  998. 神坂裁判長 もう一回はかりましょうか。
  999. 弁護人A ええ。
  1000. 神坂裁判長 では、もう一度。
  1001. 弁護人A またネクタイの結び目から証言台の前の端。ちょっと離れましたかね、さっきよりも。
  1002. 検察官1 体勢は変わりますからね、多少は。
  1003. 弁護人A 今の最初のいる位置で、この辺ということで問題ないですか。
  1004. T証人 はい。
  1005. 弁護人A 大体。
  1006. T証人 はい。
  1007. 検察官1 今、目盛りでいいますと。
  1008. 神坂裁判長 目盛りは。
  1009. 弁護人A 77センチとなっていますけれども、このぐらい?まあこのぐらいというか、このぐらいの位置。
  1010. T証人 はい。
  1011. 弁護人A そういう間隔。
  1012. T証人 はい。
  1013. 神坂裁判長 センチは、77センチが正確ということです。
  1014. 弁護人A はい。そうすると、あなたとその被害者や被告人との間にいた女性というのは、被害者の方を向いていたということでいいですか、向きとしては。
  1015. T証人 まあそっち側だと思います。
  1016. 弁護人A そっちの方を向いていたと。この女性がこの事件については何か気づいた様子とか、そういうのはあなたはわからないですか。
  1017. T証人 はい。
  1018. 弁護人A それから、その被害に遭った女性の後ろにいた男性について、あなたはその男性の全身が見えたんですか、上から下まで。
  1019. T証人 いえ、全身が見えたわけではありません。
  1020. 弁護人A 全身は見えてない。どこから見えたのでしょうか。
  1021. T証人 上半身は見えました。
  1022. 弁護人A 上半身というと、どこですか。腰か肩か胸か、どこから見えたのですか。
  1023. T証人 女子高生とかぶっている部分もあるので、正確にここからというのはちょっといいにくいのですが。
  1024. 弁護人A 肩は見えましたか。
  1025. 検察官1 肩というのは左肩という意味ですか。
  1026. 弁護人A 左肩でもいいですし。左肩は見えましたか。
  1027. T証人 左肩は余り記憶にありません。
  1028. 弁護人A 覚えてない。右の肩はどうですか。
  1029. T証人 見えました。
  1030. 弁護人A 右の肩は見えた。左肩というのはあなたから見て近い方の肩ですね。
  1031. T証人 はい、そうです。
  1032. 弁護人A 近い方の肩は見えなかったと。
  1033. T証人 見えていたかもしれませんけれども、余り注意はしてなかったので、記憶にはありません。
  1034. 弁護人A 記憶にない。被害者の女性の後ろにいた男性というのは、やはり被害者の女性と同じ方向を向いていた、全く同じ。
  1035. T証人 はい、そうです。
  1036. 弁護人A というと、あなたの体の向きに対して垂直ということになるんですか。
  1037. T証人 ……。
  1038. 弁護人A あなたが前を向いているのに対して、位置が違いますけど、方向としては前。
  1039. T証人 はい、そうです。
  1040. 弁護人A あなたと被害者とされる女性やその後ろにいた男性との間には、その女性以外にはだれもいなかった。
  1041. T証人 はい、そうです。
  1042. 弁護人A あなたからは、被害者の女性の全身というのは、やはり見ようと思えば全身見えるような位置だったのですか。
  1043. T証人 ……。
  1044. 弁護人A 例えば足の先から頭まで。
  1045. T証人 足の先は記憶にないんですが、ほぼ見えたと思います。
  1046. 弁護人A 先ほど被害者の女性の後ろにいた男性について、女子高生とかぶっている部分があって見えないというのがありましたけれども、かぶっているというのはどういう意味ですか。
  1047. T証人 密着していたために隠れているということです。
  1048. 弁護人A 女子高生の陰になっていて見えない、男性が。
  1049. T証人 はい、そうです。
  1050. 弁護人A それから被害者の左の腰からお尻にかけて、体の側面をさわっているのが見えた。
  1051. T証人 はい。
  1052. 弁護人A さわっている手というのは、手のどの部分が見えたか。指先からどこまでか。指先は見えないか。
  1053. T証人 はい。
  1054. 弁護人A 指先は見えた。
  1055. T証人 指先の手と、あと手の甲と、あと袖口も見えました。
  1056. 弁護人A 袖口が見えるぐらいで、それより先、ひじまでとかは見えない。
  1057. T証人 ひじの部分に関しては、前に立っている女性がいたので、余りよく見えなかったです。
  1058. 弁護人A 袖口ぐらいまでは見えたということですか。
  1059. T証人 はい。
  1060. 弁護人A さわっていたという状態なんですけれども、さわっていたというのは、被害者とされる女性の体の側面に手が触れているということですか。
  1061. T証人 はい、そうです。
  1062. 弁護人A それ以上にその手が動いているとか、あるいは女子高生、被害者の女性の体をなぜているとか、そういうものは見たことがありますか。
  1063. T証人 自分が見ている中ではありません。
  1064. 弁護人A ただ触れている。
  1065. T証人 はい。
  1066. 弁護人A 動いたりはしていない。
  1067. T証人 はい。
  1068. 弁護人A それから、あなたが見たその手ですけれども、その手は要は、指を全部真っすぐに伸ばしたような状態なんですか。
  1069. T証人 はい、そうです。
  1070. 弁護人A 指先はどちらというのはおかしいですけど、地面に対してどういう方向を向いていたかというのは覚えていますか。つまり、真横なのか、真下なのか、それとも斜めなのか。
  1071. T証人 真下ではありませんでした。
  1072. 弁護人A 真下ではないというのは。
  1073. T証人 正確に横か斜めかというのは覚えていませんけど。
  1074. 弁護人A 斜めだったのではないかということですか。
  1075. 検察官1 今、真横か斜めかわからないとおっしゃったんです。
  1076. 弁護人A 横か斜めかはわからない。
  1077. T証人 はい、詳しくは記憶してないです。
  1078. 弁護人A 女子高生の体の側面に、要は手のひらをこのままつけている。要は下をつけているとかじゃなくて、手のひらを横につけているということですかね。
  1079. T証人 はい、そうです。
  1080. 弁護人A それで体の側面の腰からお尻にかけてというのはちょっとわからなかったのですが、手のひらが触っている場所は体の真横あたりですか。
  1081. T証人 ……。
  1082. 弁護人A あなたが見たとき。
  1083. T証人 女子高生の側面です。
  1084. 弁護人A 側面。そのあたりに手のひらがあった。
  1085. T証人 はい、そうです。
  1086. 弁護人A そうすると、指はもうちょっと前になるんですか。
  1087. T証人 そんなに前には出ていない。
  1088. 弁護人A それから、その手が見えたことについては、間に立っていた女性の左側というか、左側から見えたということだったんですか。
  1089. T証人 はい、左側にもスペースがありましたし、左の肩越し、上からでも十分見えました。
  1090. 弁護人A 肩の上から見えたというのは、手が見えたんですか。
  1091. T証人 はい、そうです。
  1092. 弁護人A 袖とかじゃなくて、手が肩の上から見えたと。
  1093. 検察官1 手というのはどこ。
  1094. 弁護人A 手の甲です。
  1095. T証人 手の甲、それは一体として見えていました。
  1096. 弁護人A それは肩の上から見えたと。
  1097. T証人 見えました。
  1098. 弁護人A 肩の上からも動きが見えたというのは、あなたが見る位置を変えているんですか。
  1099. T証人 見る位置は変えていません。
  1100. 弁護人A それから、あなたが見た女性、被害者とされている女性、女性の前というのはだれがいましたか。
  1101. T証人 はい、人がいました。
  1102. 弁護人A それは女性のすぐ前ということですか。
  1103. T証人 はい、そうです。
  1104. 弁護人A 先ほども書いてもらった図面にこれを書いてもらうことはできますか。
  1105. T証人 はい。
  1106. 弁護人A どの位置にいたか、丸で示してもらっていいですか。
  1107. T証人 真っ正面か、ややずれているのか、わからないですけれども。
  1108. 弁護人A 真っ正面かずれているかはわからないけれども、前に人がいたと。
  1109. T証人 はい。
  1110. 弁護人A この範囲からこの範囲というのを、丸を1つ書いてもらってもいいですか。大体このくらいと。
  1111. T証人 はい。
  1112. 弁護人A 大体このくらいの位置というふうに。
  1113. T証人 余り記憶にないんですが、こういった感じではないかと思います。
  1114. 弁護人A その人はどちらを向いていたか覚えていますか。
  1115. T証人 後ろだと思いますけれども、確かではないです。
  1116. 弁護人A 進行方向を向いていたということですか。
  1117. T証人 はい。
  1118. 弁護人A はっきり覚えてない、よくわからないということですね。
  1119. T証人 はい。
  1120. 弁護人A わかりました。ごらんになりますか。
  1121. 神坂裁判長 はい。
  1122. 検察官1 よろしいですか。
  1123. 弁護人A はい、どうぞ。  それから、この電車の中では、座席の前というのも人が立っていた状態ですか。
  1124. T証人 はい、そうです。
  1125. 弁護人A 大体それはもう埋まるというか、特にあいているというのはなくて。
  1126. T証人 そのように記憶しています。
  1127. 弁護人A そういう記憶だと。今書いてもらった被害者の前にいた人というのは、座席の前のつり革につかまっている人ではないんですか。
  1128. T証人 ちょっとそれはわからないです。
  1129. 弁護人A それから、最初にこの女子高生の左の側面、体の側面に男の人の手が触れているというのに気づいたのは、電車が出発してからどのくらいたってからですか。
  1130. T証人 自分の感覚で1〜2分ぐらいだったと思います。
  1131. 弁護人A 1〜2分たってから、それに気づいた。
  1132. T証人 はい。
  1133. 弁護人A その後、あなたが見ていた時間がさらに1〜2分。2分くらい。
  1134. 検察官1 先ほどは2分くらいという証言をされました。
  1135. 弁護人A あなたが、最初はどうかわからなかったけれども、その後、痴漢だと確信したというふうなお話がありましたけれども、それはその手がずっと被害者の体の左の側面についていたからということなんですか。
  1136. T証人 はい、そうです。
  1137. 弁護人A それから、被害者の後ろにいた男性の手、両手が前の方に出ているというお話がありましたけれども、男性の手というのはどこまで見えたんですか。肩は見えたんですか。先ほどの話だと右肩は見えたと。
  1138. T証人 右肩は見えました。
  1139. 弁護人A 右肩から右手の先はどこまで見えたんですか。
  1140. T証人 その先は見えませんでした。右の腕のつけ根ぐらい。
  1141. 弁護人A 腕のつけ根ぐらい。
  1142. T証人 はい。
  1143. 弁護人A 左肩は見えた記憶はない。覚えてない。
  1144. T証人 はい。
  1145. 弁護人A 左手の方で見えたのは袖口から先ということですか。
  1146. T証人 はい、そうです。
  1147. 弁護人A それから、被害者が声を上げるまで、痴漢の被害に遭っているということについて声を上げるまでの間というのは、あなたは被害者の顔を見たりしていたんですか。あるいは後ろにいる男性の顔を見たことはあったのですか。
  1148. T証人 はい、ありました。
  1149. 弁護人A その左手、左側面に触れているという左手も見たりしたんですか。
  1150. T証人 はい、そうです。
  1151. 弁護人A それは顔については、先ほど、要は自分が見詰めていることで、それに気づいてやめることを期待して見ていたというようなことがありましたけれども、左側面をさわっている手については、何か意図があって見ていたのですか。
  1152. T証人 確信を持てない間については、もっとエスカレートした行為に発展したらまずいなというふうには思っていました。
  1153. 弁護人A 注意して見ていたということですか。
  1154. T証人 はい。
  1155. 弁護人A それから、被害者の後ろにいた男性というのは、少しうつろな目をしてぼーっとしていたということなんですか。
  1156. T証人 はい。
  1157. 弁護人A どこを見ていたというのは記憶はないですか。
  1158. T証人 車両の前方を見ていました。
  1159. 弁護人A 前の方を見ていた。
  1160. T証人 はい。
  1161. 弁護人A では、自分の前にいる女子高生を見ていたり、自分の手を見ていたりということはないんですか、あなたの見ていた範囲では。
  1162. T証人 そうですね。
  1163. 弁護人A 真っすぐ前を見ていた。
  1164. T証人 真っすぐ前の方を見ていましたが、視点は定まっていないような感じでした。
  1165. 弁護人A それから、先ほどから右に重心がかかっているということなんですが、体全体としては前かがみであるとか、真っすぐ立っているとか、そういうのは何かありますか。
  1166. T証人 多少ちょっと覆うような感じだったと思います。
  1167. 弁護人A 覆うような感じ。
  1168. T証人 はい。
  1169. 弁護人A 被害者を覆っている。
  1170. T証人 はい。
  1171. 弁護人A 被害者の頭とその後ろにいる男性の頭というのは、どういう位置関係にあったのですか。真っすぐ並んで後ろにいるような。
  1172. T証人 そこまで頭は接近していなかったと思います。
  1173. 弁護人A 頭は接近していないと。
  1174. T証人 はい。
  1175. 弁護人A 位置関係としてはその男性と被害に遭った女性というのは真っすぐ並んでいるといったらおかしいのですけれども、男性の体の真ん前に同じ方向を向いて女性の体がある、そういうことですか。
  1176. T証人 はい、そうです。
  1177. 弁護人A 頭はそこまで接近してない。というのは、ただ、あなたの話だと、体が密着していたということですよね。
  1178. T証人 はい。
  1179. 弁護人A 体が密着して頭は離れていたということですかね。
  1180. T証人 身長差があったので、そういうふうな感じでした。
  1181. 弁護人A どちらかというと、前かがみに。
  1182. T証人 前かがみのように見えました。
  1183. 弁護人A それから、あなたは、その被害者というのは、声を上げた女性の後ろにいた男性が、きょうここにいる被告人だというふうにいわれたのですけれども、きょうここにいる被告人と、あなたが当日見たその人とは、何か違いがありますか。
  1184. T証人 はい。
  1185. 弁護人A どこが違いますか。
  1186. T証人 イメージとしては、当日は覇気がないようなイメージが。
  1187. 弁護人A そういう様子という以外、要は見た目ですね、格好であるとか、髪型であるとか、そういうものは何か違いがございますか。
  1188. T証人 特に変わりはないと思います。
  1189. 弁護人A これと同じような感じですか。これというのは、こういう被告人と同じようなという感じですか。
  1190. T証人 ネクタイはつけていました。
  1191. 弁護人A 顔についてはどうですか。
  1192. T証人 正直、眼鏡については、つけていたかつけていなかったかは覚えていません。
  1193. 弁護人A これと違うような眼鏡をかけているとかというのはわかりますか。
  1194. T証人 眼鏡については余り記憶がありません。
  1195. 弁護人A それから、あなた自身は、被害者の後ろにいる男性というのは注意して見ていたわけですね、顔を。
  1196. T証人 はい。
  1197. 弁護人A それは覚えている。
  1198. T証人 はい。
  1199. 弁護人A それから、先ほど事件の後、警察に行く前、インターネットなんかでニュースを見たりしたということですけれども、そういうときに、被告人の顔をインターネットなんかで見たことはありますか。
  1200. T証人 特にそのときの記事に写真がついてなかったように思いますが、よくわかりません。
  1201. 弁護人A きょうまでの間にニュースやインターネットで調べて、被告人の顔というのは見たことはありますか。
  1202. 検察官1 13日以降きょうまでということですか。
  1203. 弁護人A 9月13日からきょうまでの間。
  1204. T証人 テレビで今回の件があって、前回の記者会見のときの映像が流れるというようなものは見たことがあります。
  1205. 弁護人A インターネットで見たことはないですか。
  1206. T証人 インターネットでは写真等は見てないと思います。
  1207. 弁護人A ヤフーのニュースで見たということなんですけれども、ヤフーのニュースというのは、ニュースで今回の記事というのはどうやって探したのですか。
  1208. T証人 まず友人から、そういうニュースになっているというのを聞いて調べました。
  1209. 弁護人A 実際にパソコンで調べるときの手順として、どうやって調べるのですか。
  1210. T証人 自分のポータルサイトとしてヤフーを使用しているので、まずニュースを見るとしたら、ヤフーのニュースです。
  1211. 弁護人A ヤフーのホームページ欄から検索したのですか。
  1212. T証人 検索というか、もうヤフーニュースはトップから入れるので、そこから見ます。
  1213. 弁護人A そこにもう記事が、項目があったんですか。
  1214. T証人 はい。
  1215. 弁護人A それを見たと。
  1216. T証人 はい。
  1217. 弁護人A それ以外には、今回の件について、インターネットを調べたりはしてないんですか。
  1218. T証人 特に最近まではしていません。
  1219. 弁護人A 最近まではというと、最近はしたんですか。
  1220. T証人 最近は、はい、調べたことがあります。
  1221. 弁護人A どんなことを調べたのですか。
  1222. T証人 どんなことというか、これも友人から事実そういった植草元教授を応援しているページがあるという、その中で、証人がいるらしいけれども、うそくさいというようなことが書いてあったみたいな話を聞いたので、どんなことが書かれているのだろうと思って見たということです。
  1223. 弁護人A そういうときに写真を見たりはしませんでしたか。
  1224. T証人 写真はなかったと思います。
  1225. 弁護人A それから、被害者が声を上げたときというのは、あなたはそのときの被害者やその後ろの男性というのを見ていましたか。
  1226. T証人 はい、見ていました。
  1227. 弁護人A 被害者が声を上げたときは、どちら向きに振り向いたか、あなたは覚えていますか。
  1228. T証人 後ろの方に、おじさんの方に振り向きました。
  1229. 弁護人A つまりは、どちら回りか。
  1230. T証人 詳しくは記憶していませんが、右回りだったと思います。
  1231. 弁護人A 右回りというと、自分の右手の方を振り向くような感じ。
  1232. T証人 はい。
  1233. 弁護人A 振り向いたと記憶していると。
  1234. T証人 はい。
  1235. 弁護人A それから、被害者とあなたは、その女性が声を上げる前に目が合ったということをいわれていますけれども、被害者は、あえてあなたの方に顔を向けていたということなんですか。
  1236. T証人 そういうふうに見えました。
  1237. 弁護人A 今までの話だと、大体あなたの真っ正面ぐらいに真横を向いていた。
  1238. T証人 はい。
  1239. 弁護人A そうすると、顔を真横に向けるような形で見ていたということですか。
  1240. T証人 はい。
  1241. 弁護人A それから、被害者が声を上げて振り向いたとき、男性はどういう様子だったか。先ほどは1〜2歩下がったというようなことをいわれたのですけれども、何か気づいた様子はありましたか。
  1242. T証人 自分の印象としては、無関係を装うというような印象を受けました。
  1243. 弁護人A そういうときは特に表情に変化はなかったんですか。
  1244. T証人 その瞬間の表情までは覚えていません。
  1245. 弁護人A 無関係を装うというのは、要はその女性に対して何か対応するという感じではなかったということですか。
  1246. T証人 はい。
  1247. 弁護人A あなたの記憶だと1〜2歩下がった後、後ろを向いたんですか、反対側のドア。
  1248. T証人 反対側のドアの方を向いたような気がします。
  1249. 弁護人A あなたの方で先ほどいわれた、その女性に何か「わかったから」というようなことをいったというのはいつの段階ですか。
  1250. T証人 そういった行動があったこと自体は覚えていますが、それがどの時間帯的に、行動の前後としてどのあたりだったかというのは、余りよく覚えていません。
  1251. 弁護人A あなたの印象だと、1〜2歩下がったと。それで無関係を装ったように見えたと。
  1252. T証人 はい。
  1253. 弁護人A それで後ろを向いてつり革をつかんだということなんですか。
  1254. T証人 つり革をつかんだとはいってないです。
  1255. 弁護人A 後ろを向いたと。
  1256. T証人 はい。
  1257. 弁護人A そうすると、その女性が、先ほどいわれた「何をやっているんですか。子供の前で恥ずかしくないんですか」、あるいは「次でおりてください」というようなことに対して、「わかったから」といってなだめる様子ではなかったと。
  1258. T証人 そのあたりは詳しく記憶していません。
  1259. 弁護人A そのなだめる様子と無関係を装うというのは、ちょっとうまく頭の中で整理できないのですが、声を上げられた後、1〜2歩下がって、反対側のドアを向いたという中に、それは入ってくるんですか、その「わかったから」という行動は。
  1260. T証人 無関係を装っていて、いわれて、女子高生の方から何かいわれているうちに、無関係を装えなくなったということだったと思います。
  1261. 弁護人A それから、「わかったから」という声は、どのくらいの大きさでいっていたのですか。あなたのところにも聞こえるぐらいですか。
  1262. T証人 「わかったから」といったような感じであって、一言一句「わかったから」だったかどうかは定かではありません。
  1263. 弁護人A 先ほど被害者とされる女性に前の方から人が近づいてきて何かいったというようなことがありましたよね。
  1264. T証人 はい。
  1265. 弁護人A そのときは、もう何をいっているのか、全然あなたに聞こえなかったわけですか。
  1266. T証人 それはだれのことを指しているのですか。
  1267. 弁護人A 要は、最終的に被告人のネクタイをつかんだと。これは前の方から来て被害者の女性に何か話しかけた。そのときには、その人が何を話しているかというのは聞こえなかったと。
  1268. T証人 はい。
  1269. 弁護人A 女子高生の位置は、あなたの話だと、位置は変わってないんですか。
  1270. T証人 多少変わっています。
  1271. 弁護人A どちらに?
  1272. T証人 もといた場所には近かったと思いますが、男性、おじさんの方に抗議をしたときには、おじさんの方に近づいていますので、全く同じ位置にずっと立ち続けていたというわけではありません。
  1273. 弁護人A 女子高生が振り向くときに1〜2歩前に進んだというようなことはないんですか。
  1274. T証人 女子高生がですか。
  1275. 弁護人A 女子高生が。
  1276. T証人 進んでいったことはあったと思います。
  1277. 弁護人A その場ですぐに振り向くのではなくて、前に進んでから振り向く。
  1278. T証人 振り向いてから進んだということです。
  1279. 弁護人A 私が聞きたかったのは、振り向くときに、その場で、要は全く移動せずに振り向いたのか、それとも1回後ろに男性から離れるようにしてから振り向いたのか。
  1280. T証人 そういう細かいところまでは余り覚えていません。
  1281. 弁護人B 弁護人の弁護人Bから補充させていただきます。  先ほど弁護人から紙を渡されて、そこに被告人とか乗客の位置を書いたと思いますけれども、その弁護人から示されて書いた位置というのは、今でも当時の記憶として、記憶と合致していますか。
  1282. T証人 大体合致していると思います。
  1283. 弁護人B 警察署で書いたときも、そのように書いたということですね。
  1284. T証人 はい、そうです。
  1285. 弁護人B 当時ですが、被告人の所持品で何か気づいたことはありますか。
  1286. T証人 所持品については余り記憶がありません。
  1287. 弁護人B あなたが痴漢行為を確信したという理由の中で、左腰についていた手が、女性の体が動いたときについていったということがありましたね。
  1288. T証人 はい。
  1289. 弁護人B 電車が揺れていたときにもついていったというふうにお話しされましたか。
  1290. T証人 はい。
  1291. 弁護人B 電車が揺れたというのは、電車がどういう方向に揺れたんでしょうか。
  1292. T証人 揺れた方向までは、そこまでは詳しくはわからないんですけれども。
  1293. 弁護人B ただ電車が揺れた方向に手もついていったということですか。
  1294. T証人 電車が揺れたことによって女子高生の体が動いたので、それについていったという形だと思います。
  1295. 弁護人B 電車が揺れていたことによって女子高生の体が動いたということのほかに、女子高生が自分で体を動かしたということはあったのですか。
  1296. T証人 はい、ありました。
  1297. 弁護人B 女子高生はどのように体を動かしたのですか。
  1298. T証人 やや前の方に動いたように記憶しております。
  1299. 弁護人B 前の方に動くというのは、そのまま並行に、前に、進行方向に進むということなのか、体を右か左に傾けるということなのか、どちらでしょうか。
  1300. T証人 1歩動くというような動きではありませんでした。
  1301. 弁護人B そうでなければ、どうだったんですか。
  1302. T証人 どちらかというと、体をひねるというふうな形だったのかもしれません。
  1303. 弁護人B どちら側にひねったかわかりますか。
  1304. T証人 細かい動きまでは覚えてないです。
  1305. 弁護人B ただあなたは、その男性、女子高生の後ろに立っていたという男性がさわっている様子は、その手が、その女性に触れているという様子をはっきり見ていたわけですね。
  1306. T証人 はい。
  1307. 弁護人B 2分間ぐらい見ていたということですか。
  1308. T証人 はい、そうです。
  1309. 弁護人B 指先から袖口のあたりまでははっきり見えていたということですね。
  1310. T証人 はい、そうです。
  1311. 弁護人B あなたは男性が傘を左手首にかけていたということについて気づきましたか。
  1312. T証人 いえ、気づいていません。
  1313. 弁護人B あと、先ほど出てきたんですが、ヤフーのニュースを確認したということですね。
  1314. T証人 はい。
  1315. 弁護人B それは事件のあった次の日。
  1316. T証人 はい、そうです。
  1317. 弁護人B 全部で2回ですか、1回ですか。
  1318. T証人 次の日には1回です。
  1319. 弁護人B 次の日、何時ごろか覚えていますか。
  1320. T証人 お昼ごろだと思います。
  1321. 弁護人B 12時過ぎていましたか。
  1322. T証人 詳しい時間まで覚えてないです。
  1323. 弁護人B 次の日のほかにも調べましたか。
  1324. T証人 次の日も1回調べました。
  1325. 弁護人B 9月14日に2回調べたんですかね。
  1326. T証人 同じ日に2回調べてはいないです。
  1327. 弁護人B 次の日と、あともう1回はいつ調べたのですか。
  1328. T証人 その翌日です。
  1329. 弁護人B 大体の時間は覚えていますか。
  1330. T証人 それもお昼ごろだったと思います。
  1331. 弁護人B あと支援サイトというのも見たということですね。
  1332. T証人 はい。
  1333. 弁護人B これは大体何日ごろか覚えていますか。
  1334. T証人 つい最近です。
  1335. 弁護人B 何日ぐらい前かはどうですか。2〜3日前とか。
  1336. T証人 1週間くらい前か、それ以内だったと思います。
  1337. 弁護人B 1週間くらい。被告人初公判というのが12月6日にあったのですが、その前か後かわかりますか。
  1338. T証人 詳しくは、その中を、文字が多かったので、余り見てないので、内容については余り記憶はしてないんですけど。
  1339. 弁護人B 1週間ぐらい前。
  1340. T証人 はい。
  1341. 弁護人C 弁護人Cですが、先ほどの支援サイトなんですけれども、被告人の顔写真というのは出ていたんじゃないですか。
  1342. T証人 なかったように思います。
  1343. 弁護人C それから、先ほどの主任弁護人の尋問で、左手は女子高生のお尻や腰のあたりをたださわっていただけで、なで回すような動きは自分が見た範囲ではなかった、こういうご趣旨でしょうか。
  1344. T証人 はい、そうです。
  1345. 弁護人C あなたが見ていた時間というのは約2分間ですか。
  1346. T証人 はい。
  1347. 弁護人C 2分間というのは、起訴状の公訴事実による犯行時間が大体2分間ということだったのですが、その間そういう様子は見受けられなかったということですか。
  1348. T証人 自分が見ている範囲ではそういうことは見てないです。
  1349. 弁護人C その点、捜査段階で何回か聞かれませんでしたか。
  1350. T証人 聞かれました。
  1351. 弁護人C 被害者の方が何といっているかというのはご存じですか。
  1352. T証人 それは知りません。
  1353. 弁護人C あと、被害者が声を上げた瞬間、その状況について、あなたと被害者の間に立っていたその女性はどういう反応だったのでしょうか。
  1354. T証人 どういう反応というと……。
  1355. 弁護人C 何か意外なことが起きてびっくりしたとか、そういう状況というのは見受けられましたか。覚えていませんか。
  1356. T証人 覚えてないです。
  1357. 弁護人C それからメールのことなんですけれども、相手方の方は高校生のころからの友人だそうですね。
  1358. T証人 はい。
  1359. 弁護人C しばしばメールを打ち合う相手なんですか。
  1360. T証人 そこまでしょっちゅうメールはしないです。
  1361. 弁護人C たまに打ち合うという感じですか。
  1362. T証人 はい、そうです。
  1363. 弁護人C 難しい質問かもしれませんが、どの程度の頻度なんでしょうか。
  1364. T証人 会う機会ができそうだったり、そういったときにメールを打っています。
  1365. 弁護人C 答え方が難しいかもしれませんけれども、何日に1回という言い方をすると。
  1366. T証人 なかなかそういった範囲ではいうのはちょっと難しいです。
  1367. 弁護人C 今回のように続けて打つこともあれば、数カ月あいちゃうこともあるんでしょうか。
  1368. T証人 はい、そうです。
  1369. 弁護人C 今回のメールを打った理由、その前にどこで発送したかというのは覚えていますか。
  1370. T証人 送信したタイミングは余り覚えてないです。
  1371. 弁護人C メールの発送時刻を見ると、これは先ほどの甲25を見てください。22時39分という記載がありますね。
  1372. T証人 はい。
  1373. 弁護人C これが発送時間になるわけですか。
  1374. T証人 そうですね。
  1375. 弁護人C 時刻表上は、K(地名)に着く前ぐらいか、と。電車がおくれていなければその程度なのかなと思うのですけれども、あなたの記憶はそうではありませんでしたか。
  1376. T証人 実際に送信したときのことを覚えてないので、そうであったのであれば、ああ、そうなんだという程度です。
  1377. 弁護人C メールを打った動機として、あなたが近くで犯行を見ておきながら注意できなくて、自分の最低の部分を隠せなかったという記載がありますね。
  1378. T証人 はい。
  1379. 弁護人C 本当にそういう動機で打ったのですか。
  1380. T証人 はい、そうです。
  1381. 弁護人C 失礼かもしれませんけれども、最低の部分というのは、むしろ人に余りいいたくないことであって、あえてそれを伝えるというのは、どういうお気持ちなんですかね。
  1382. T証人 黙っておくのも、黙ってそれを自分の中に置いておくのも、つらかったというところはあります。
  1383. 弁護人C メールの中を見ますと、女の子がみずから泣きながら訴えるまでその男を注意できなかったとあるのですが、これは事実と違うと思うのですが。
  1384. 検察官1 先生、どこが違うということですか。
  1385. 弁護人C 最後まで注意できなかったというのが主尋問の内容ではなかったでしょうか。この文面は、むしろ泣きながら訴えるまでその男を注意できなかったとありますので、逆にいえば、泣きながら訴える女子高生のためにその男を注意したかのように読めるのですけれども、じゃ、そういうふうに聞きましょうか。そういう趣旨ではないんですか。
  1386. T証人 違いますけれども。
  1387. 弁護人C わかりました。  私からは以上です。
  1388. 弁護人D 弁護人の弁護人Dからお聞きします。  同じくメールを示します。本日提出の甲25ないし28までの4枚、あわせて示します。これはあなたの方から○○○さんに送ったメールですね。
  1389. T証人 はい。
  1390. 弁護人D この甲25の写真の本文の1行目の文面を示します。今電車の中で痴漢が起こったとお書きになっていますね。
  1391. T証人 はい。
  1392. 弁護人D 起こったというふうにお書きになっていますが、「見た」という言葉ではなくて、「起こった」という言葉を使われたのはどうしてか、説明できますか。
  1393. T証人 ……。
  1394. 弁護人D できなければできないでいいです。
  1395. T証人 ちょっと説明できないです。
  1396. 弁護人D それから、この後のこのメール、あなたが送信したメールの最後まで、あなたのいうおじさんが、女の子の体をさわったというような表現、あるいはこれにたぐいするような表現は使われていないんだけれども、これはどうしてか、説明できますか。
  1397. T証人 痴漢の内容を伝えることが趣旨ではなかったからじゃないでしょうか。
  1398. 弁護人D それでは、この事件の翌日、14日のことですけれども、あなたはヤフーニュースで被告人が逮捕されて、本件については覚えていないと、そういうニュースに触れたということですね。
  1399. T証人 はい、そうです。
  1400. 弁護人D このときに名乗り出なかったのはどうしてですか。
  1401. T証人 覚えていないという言葉に対して、私自身が強い否定は感じていなかったからです。
  1402. 弁護人D それから翌日、またこれはやってないという報道に接して、そんなことはないと思って警察にいおうと思ったと。
  1403. T証人 はい。
  1404. 弁護人D それで京急電鉄に電話されて、蒲田警察に事情をいわれたということですね。
  1405. T証人 はい。
  1406. 弁護人D 蒲田署に電話をかけて最初に何とおっしゃったんですか、あなたは。
  1407. T証人 正確には覚えてないですけれども、13日にあった事件の現場にいた者というふうな形で切り出したと思います。
  1408. 弁護人D その後どういうふうにいいましたか。担当の人が出てきたんでしょう、電話に。
  1409. T証人 はい、そうです。
  1410. 弁護人D どういうふうにいったんですか。
  1411. T証人 そのとき痴漢の現場を見ていたので、自分の持っている情報が力になればという内容で話したと思います。
  1412. 弁護人D そうしたら、警察は何といいましたか。
  1413. T証人 ちょっとどう答えたかは覚えてないです。
  1414. 弁護人D 蒲田署には何回行きましたか。
  1415. T証人 蒲田署には1回です。
  1416. 弁護人D 蒲田署には1回だけ。話をしていた時間はどのくらいですか。
  1417. T証人 6〜7時間だったと思います。
  1418. 弁護人D 調書は何通とりましたか。
  1419. T証人 1つです。
  1420. 弁護人D 検察庁には何回行きましたか。
  1421. T証人 4回ぐらいだったと思います。
  1422. 弁護人D 9月13日からきょうまでに4回ですか。
  1423. T証人 正確に4回か数えてないのでわからないのですけれども、それぐらいだと思います。
  1424. 弁護人D 調書は何通とりましたか。
  1425. T証人 調書は1つだと思います。
  1426. 弁護人D 蒲田署のことに戻りますけれども、最初あなたに応対したのはKさんという人ですか。
  1427. T証人 たしかそうだったと思います。
  1428. 弁護人D その人と6時間か7時間話をしたのですか。
  1429. T証人 電話に出た方じゃなかった気がします。
  1430. 弁護人D 名前はわからないと。
  1431. T証人 忘れてしまいました。
  1432. 弁護人D 同じ人と6時間か7時間話したんですか。
  1433. T証人 大体そうです。
  1434. 弁護人D ほかにも検察官が来ましたか。
  1435. T証人 1人サポートに入った方がいらっしゃいました。
  1436. 弁護人D それであなたはどういうふうに聞かれたんですか、警察官から、まず最初。あるいは、あなたから話し始めたんですか。
  1437. T証人 どういうふうにというのは、ちょっと余り覚えていないのですけれども。
  1438. 弁護人D 終わります。
  1439. 弁護人B 弁護人の弁護人Bから1点だけ確認させてください。  メールで○○さんとやりとりをしたわけですが、9月13日の当日ですけど、1回目のメールは電車の中ですね。2回目、3回目のあなたからの送信メールはどこから送ったか覚えていますか。
  1440. T証人 電車をおりた後だと思います。
  1441. 弁護人B 自宅に着くまでの間ですか。
  1442. T証人 はい、そうです。
  1443. 弁護人A 弁護人の弁護人Aから質問します。  被害者とされている女性が、その後ろにいる男性に対して振り向いて声を出したということですけれども、その振り向いたとき、女性は男性に声をかける、声をかけるというか、何かいう以外に、例えば自分の後ろ、スカートを気にするとか、そういうような様子を何かしていましたか。様子は何かあなたは見ていますか。
  1444. T証人 そういうような動作の記憶はないです。
  1445. 弁護人A もう振り向いて、後ろにいた男性に声を出して、何かいったということしか覚えていないですか。
  1446. T証人 はい。
  1447. 弁護人A そのほかの動作というのは覚えてないですか。
  1448. T証人 はい、そうです。
  1449. 弁護人A 被害者とされる女性の持ち物とか何か覚えていますか。
  1450. T証人 持ち物については余りよく覚えていません。
  1451. 検察官1 検察官から若干質問します。  弁護人の方からの質問に、あなたが当日、9月13日に乗っていた電車、これは22時8分発であるとか、何両目から乗ったかということについて、警察や検察庁で確認してわかったんですかというご質問があって、それに対して、「はい、そうです」という答えをしたかと思うのですけれども、これはそうなんですか。
  1452. T証人 それまでははっきりと、自分が何両目に乗っていたかということまでは、実際乗るときは数えていないので、そこを確認してくださいという形でいわれたので、調べました。
  1453. 検察官1 検察庁の方で、先週でしたか、打ち合わせをしたときに、検事の方から、私からですけれども、そのとき乗った電車は何分発だったのか、どこから乗ったのか、何両目から乗ったのかということがわかるのであれば、調べてきてくださいというふうに申し上げましたよね。
  1454. T証人 はい。
  1455. 検察官1 それでご自身でお調べになって、その結果を、きょうここの法廷で話した、そういうことになりますか。
  1456. T証人 はい、そうです。
  1457. 検察官1 それから、先ほど弁護人からの質問で、2回目、3回目のメールはどこから打ったのかという質問があったかと思いますが、2回目、3回目というと、この9月13日のときに、2回も3回もメールを打ったんでしょうか。
  1458. T証人 友人からの返答に対して「ありがとう」と一言返しています。
  1459. 検察官1 それは、つまり2回目のメールということになりますね。
  1460. T証人 はい。
  1461. 検察官1 それはもう電車からおりて、自宅に帰る途中だった、そういうことですか。
  1462. T証人 はい、そうです。
  1463. 検察官1 3回目のメールというのはあったんでしょうか。
  1464. T証人 3回目はちょっと覚えてない。打ったかどうかは覚えてないです。
  1465. 検察官1 終わります。
  1466. 大村裁判官 裁判官の大村からお尋ねします。  まず、被害者とされる女性が振り返って、やめてくださいということをいう前に、言葉に出さなくても、助けを求めるそぶりですとか、そういうのはなかったのですか。
  1467. T証人 目が合ったときに、それが果たしてそういったサインであるかどうかという考えはありました。
  1468. 大村裁判官 目が合ったというのは、具体的に何回ぐらいあったのですか。
  1469. T証人 記憶している程度では2回だったと思いますけれども、はっきりと覚えているのは1回です。
  1470. 大村裁判官 その際に、あなたに何か合図を送ってきたりなどはしたのですか。
  1471. T証人 いえ、目が合っただけです。
  1472. 大村裁判官 先ほど傘の話が少しありましたけれども、当日に雨が降っていたかどうかというのは覚えていますか。
  1473. T証人 降っていたと思います。
  1474. 大村裁判官 あなたも傘を持っていたのですか。
  1475. T証人 持っていませんでした。
  1476. 大村裁判官 被害者とされる女性が振り返った後の話なんですけれども、その被害者とされる女性と加害者とされる男性は本当に密着していたと思うので、それが振り返った後で、離れたと思うのですけれども、女性の方が少し下がったのか、男性の方が離れたのか、どちらですか。
  1477. T証人 男性がまず離れました。
  1478. 大村裁判官 それから、あなたがインターネットでこの事件のことを調べて、その結果、警察に申し出ることになったのですけれども、先ほど写真がなかったとおっしゃいましたけれども、なぜネットで出ている事件が自分の目撃した事件であると考えたのですか。
  1479. T証人 そのサイトを見る前に、先日メールを送った友人から、その犯人というのは植草元教授じゃないかという趣旨のメールが届きまして、その中に、その事件の内容がニュースに出ているという話を聞いて調べました。
  1480. 大村裁判官 例えば自分の見た記憶と、記事として載っていた時刻とか、電車が同じことを確認したということですか。
  1481. T証人 時刻というよりも、自分の大体の時刻と、乗っていた電車で、京急蒲田駅で犯人がおろされたという事実からです。
  1482. 大村裁判官 それから、メールのことについてお尋ねしますけれども、まずこの写真なんですけれども、これを撮影したところであなたはそばにいたのですか。
  1483. T証人 はい、いました。
  1484. 大村裁判官 これは一番初めのメール、25番、表題の載っている写真のメールとそのほかの写真も、同じ機会に撮影されたものですか。
  1485. T証人 大体同じ時間に撮影していると思います。
  1486. 大村裁判官 何でそれを聞くかと申しますと、背景が違うというのと、充電器、バッテリーのところとか、ほかのは写ってないものもあるのですけれども、ほかのは満タンの状態なんですけれども、この25のものだけ、残りのバッテリーが1つなので、同じ機会に撮られた、撮影されたのかなというふうに思ったのですが、これは同じ機会でよろしいですか。
  1487. T証人 はい。
  1488. 大村裁判官 そうすると、充電器の状態、バッテリーの状態が違うというのは……。
  1489. T証人 18日に撮影する際に、自分の充電状態が、ほとんどなくなっている状態だったので、撮影の途中に充電器を差し込んだままの状態で撮影しました。
  1490. 大村裁判官 つまり、これは充電しながら撮影されたということでよろしいですか。
  1491. T証人 はい。
  1492. 大村裁判官 それから、送信メールの方が50/49みたいな表示があるのですけれども、多分これは保存できるのが50だということですか。
  1493. T証人 多分そうだと思います。
  1494. 大村裁判官 つまり、撮影されたのは12月18日とおっしゃったと思うのですけれども、9月13日のメールはあえてその後保存しておいたということですか。
  1495. T証人 はい、そうです。
  1496. 大村裁判官 それが警察官ですとか、検察官の方から、そのメールを保存してくださいとか、お願いされたということですか。
  1497. T証人 関係するメールに対しては保存してくださいとはいわれました。自分であえて1つ送ったメールについては保存しておりました。
  1498. 大村裁判官 このメールの中で、かぎのマークみたいなのがあるのですが、これは……。
  1499. T証人 これは保護をしてこのメールが流れないようにするというマークです。
  1500. 宮本裁判官 あなたがこの痴漢を目撃した当時ですけれども、あなたは酔ってなかったのですか。
  1501. T証人 はい、酔っていません。
  1502. 宮本裁判官 酒は飲んでなかったのですか。
  1503. T証人 はい。
  1504. 宮本裁判官 痴漢の犯人の方は酔っている雰囲気はありましたか。
  1505. T証人 当日酔っているとは思いませんでした。
  1506. 宮本裁判官 例えば酒のにおいがしたとか、ふらふらしていたとか、そういう感じはなかったですか。
  1507. T証人 目がうつろっぽいという印象は受けましたが、ふらふらはしていませんでした。
  1508. 宮本裁判官 この犯人が傘を持っていたかどうかというのは記憶はないんですよね。
  1509. T証人 はい。
  1510. 宮本裁判官 かばんを持っていたかどうかは記憶はあるのですか。
  1511. T証人 それも余り記憶ありません。
  1512. 宮本裁判官 ただ、右肩は見えたといいましたよね。
  1513. T証人 はい。
  1514. 宮本裁判官 右肩にかばんをかけているとか、そういう記憶はないですか。
  1515. T証人 そうですね。ないです。
  1516. 宮本裁判官 あと、周囲に子供がいたんですか。
  1517. T証人 はい、いました。
  1518. 宮本裁判官 1人ですか。
  1519. T証人 1人以上いたと思います。
  1520. 宮本裁判官 お母さんに連れられた子供がいたということですか。
  1521. T証人 はい。
  1522. 宮本裁判官 何歳ぐらいの子供がいたのですか。
  1523. T証人 詳しくはわかりませんが、小学校に上がってないような小さな子供がいたと思います。
  1524. 宮本裁判官 小学校に上がってないような小さな子供がいたということですね。
  1525. T証人 はい。
  1526. 宮本裁判官 被害者がこの犯人に向かって、「子供の前で恥ずかしくないんですか」といったということですよね。
  1527. T証人 はい。
  1528. 宮本裁判官 あなたはそれを聞いて、その子供というのは、そこにいた子供だと思ったのですか。
  1529. T証人 最初は何のことかと思いました。最初は自分のことを指しているのかと思ったら、後ろにいる子供のことかなというふうに考えました。
  1530. 宮本裁判官 携帯電話の写真で、あなたが送信したのが10時39分で、○○さんから受信したのは10時55分ですが、その時刻というのは、正確というのは、警察とかで確かめられましたか。
  1531. T証人 正確というのは……。
  1532. 宮本裁判官 誤差がないかどうか。携帯の時計の時刻が、実際の時刻からずれてないかというのはどうですか。
  1533. T証人 それは確かめてはいないと思います。
  1534. 宮本裁判官 あなたとしてはどうなんですか。時刻は常に合っている。携帯の時刻は正確にしているとか。
  1535. T証人 あえて5分ずらしたりとか、そういうことはしていないです。
  1536. 宮本裁判官 自然にずれてくるのはあるかもしれないけれども、一応あなたとしては正確な時刻をあらわしていると思うということですか。
  1537. T証人 はい、そうです。
  1538. 宮本裁判官 9月14日に友人からメールが来たというのは、それは○○さんからメールが来て、きのうの事件の犯人は植草元教授じゃないかというメールが来たということですか。
  1539. T証人 はい、そうです。
  1540. 宮本裁判官 そのメールも残っているのですか。
  1541. T証人 はい、残っています。
  1542. 宮本裁判官 犯人のネクタイをつかんだ男がいますよね。
  1543. T証人 はい。
  1544. 宮本裁判官 その人はどこから来たのですか。
  1545. T証人 車両の前方というか、前方の座席の方から来たように思います。
  1546. 宮本裁判官 あなたはそのときまで、全然その男のことは認識していなかった。
  1547. T証人 はい。
  1548. 宮本裁判官 先ほど弁護人の質問で図面を書きましたよね。警察段階で、いた人物について図面を書きましたよね。
  1549. T証人 はい。
  1550. 宮本裁判官 その中ではネクタイをつかんだ男というのは入ってないわけですか。
  1551. T証人 たしか書いてないと思います。
  1552. 宮本裁判官 さっきの図面では書いてないでしょう。
  1553. T証人 はい。
  1554. 宮本裁判官 警察段階でもそれは書いてないという記憶ですか。
  1555. T証人 はい。
  1556. 宮本裁判官 前の方から、車両の前方の方から来たということですか。
  1557. T証人 そうです。
  1558. 宮本裁判官 あと、あなたは携帯を持っていたんですね、当日。
  1559. T証人 はい。
  1560. 宮本裁判官 カメラつきなんですか。
  1561. T証人 カメラはついていません。
  1562. 宮本裁判官 カメラはついてないの。
  1563. T証人 はい。
  1564. 宮本裁判官 証拠を撮ろうとか思わなかったんですか、痴漢の現場の。
  1565. T証人 ついていたら、もしかしたらそういった行動に出たかもしれないですけれども。
  1566. 宮本裁判官 ついてないの。
  1567. T証人 古いので、ついていません。
  1568. 宮本裁判官 あと、あなたは植草教授を応援するホームページを見たのですか。
  1569. T証人 見ました。
  1570. 宮本裁判官 どういうことが書いてあったのですか。
  1571. T証人 自分が読んだ範囲では、そういうことをする人じゃないといった内容が書かれていたのと、活躍している場、こういうところで活躍しているといった内容が書いてある部分しか読んでないです。
  1572. 宮本裁判官 あなたは今回目撃したということですが、それまでは植草教授に対する知識というのは余りなかった。前の事件とか、手鏡の事件ぐらいしか知らなかった。
  1573. T証人 はい、そうです。
  1574. 宮本裁判官 本とか読んだことはあるのですか。
  1575. T証人 ないです。
  1576. 神坂裁判長 今聞かれたことに若干関連しますけれども、この事件より前には、植草一秀という名前を聞いて、こういう風貌の人だという知識はなかったわけですか。
  1577. T証人 前回の事件で見たとき、報道でしゃべっている、そういうのは見ているので、そのときの記憶はあると思いますけれども。
  1578. 神坂裁判長 今回あなたが現場で女子高生の後ろに立っている人を見たときに、その人が植草一秀だというふうに、パッと見たときにはわからなかったですか。
  1579. T証人 わかりませんでした。
  1580. 神坂裁判長 そのときにあなたがごらんになった範囲で、被害者の後ろに立っている人物と、きょう法廷でごらんになっている被告人との違いについて、先ほど弁護人の方からも聞かれていましたけれども、顔だとかということについて、違いがあるとお感じになりましたか。
  1581. T証人 いや、特にないです。
  1582. 神坂裁判長 例えば当時よりも顔つきがやせているのではないかとか、やつれているのではないかというふうな印象は、特にはお持ちにならないですか。
  1583. T証人 そういう印象はありませんでした。
  1584. 神坂裁判長 今お持ちになっているかどうかなんだけれども、当時あなたがごらんになられて、電車の中でごらんになった男ときょう法廷でごらんになった男と比べると、特にきょうの方がやせているとか、やつれているとか、そういう印象はないということでいいですか。
  1585. T証人 はい。
  1586. 神坂裁判長 それから、何度かあなたの携帯電話のことを聞かれているのですけれども、もう一度示してもらえますか。甲24から31まで全部。  撮影したのはあなたじゃないから、あなたに聞くのも悪いかもしれないけれども、この順番に撮影していったという記憶でいいですか。
  1587. T証人 はい。
  1588. 検察官1 これは、1番が、重複の部分も含めて、最後に撮影しています。
  1589. T証人 携帯電話の全体を写しているものに関しては、最後に撮影しました。
  1590. 神坂裁判長 2枚目以降、25以降ですが、一番最上部にあるバッテリー容量の表示なんですけれども、25は赤い色の表示になっていますね。その次の26と27、28は表示がないですね。その次の29が……。
  1591. 検察官1 26がそうですね。
  1592. 神坂裁判長 26は表示がない。27は満タンの表示がある。こういうふうになっていますね。27の方ですね。こうなっていますね。
  1593. T証人 はい。
  1594. 神坂裁判長 これから、どうしてこういう表示になっているのかというのはわかりますか。
  1595. T証人 はい。
  1596. 神坂裁判長 もう一度説明してもらえますか。
  1597. T証人 一番最初の赤い表示になっているものについては、バッテリーがない状態で撮影したものです。その後については、充電器を借りて、充電しながらという形です。  ついているものと、ついてないものがあるのは、充電中は、ここは点滅するので、そのタイミングによってという話だと思います。
  1598. 神坂裁判長 充電のときに点滅しているときのバッテリーそのものの表示は、黒色で表示されるのですか。
  1599. T証人 満タンでこの緑の状態です。
  1600. 神坂裁判長 点滅しているのは、黒色の一色で点滅するのですか。赤い色で表示されるのではなくて、赤い色の表示で点滅するのではなくて、黒色で表示するのですか、あなたの携帯電話は。
  1601. T証人 点滅というのは……。
  1602. 神坂裁判長 充電しているときというのは、今点滅するとおっしゃいましたよね。
  1603. T証人 それは満タンの記号がついたり消えたりするということです。
  1604. 神坂裁判長 黒色で点滅するのですか。
  1605. T証人 黒というより、この表記が全く消えてしまうということの意味です。
  1606. 神坂裁判長 消えるんですか。
  1607. T証人 はい、そうです。
  1608. 神坂裁判長 そうすると、27番目が、今度は満タンで表示されているのは、これは充電が終了してから撮影したということですか。
  1609. T証人 終了したというより、充電中に、ちょうどこの点滅している、ついている状態を撮影したのだと思います。
  1610. 神坂裁判長 ここで黒色のものがついているということは、黒色で点滅するということの意味ですよね。緑ですか、これは。
  1611. T証人 そうです。
  1612. 神坂裁判長 緑色から黒色で点滅するわけですね。
  1613. T証人 そうです。
  1614. 神坂裁判長 24番の一番最初のやつは、一番最後に撮ったものだと、こういうことですか。
  1615. T証人 はい。
  1616. 神坂裁判長 25番と、それから29番、要するに、送信メールと受信メールのそれぞれの表題部分が撮影されているメールというのがありますね。
  1617. T証人 はい。
  1618. 神坂裁判長 先ほどもちょっと聞かれていましたけれども、一番最上部に送信のところに括弧つきで49/50、それから受信の方には134/200、そういうふうになっていますね。
  1619. T証人 はい。
  1620. 神坂裁判長 多分この200とか50とかいうのは、保存できる全部の量ですか。
  1621. T証人 だと思います。
  1622. 神坂裁判長 実際に保存してあるメールの中の何番目のメールかということではないんですね。
  1623. T証人 そうですね。ちょっとわからないです。
  1624. 神坂裁判長 このスラッシュの左側に書いてある134とか49というのは、これは例えば実際に保存してある送受信メールかどうかというのはわからないですか。
  1625. T証人 中を見て調べてみればわかると思います。
  1626. 神坂裁判長 それでは終わりました。  ご苦労さまでした。
  1627.      

    〔T証人、退廷〕

  1628. 神坂裁判長 それでは、引き続き立証の方針について伺いたいと思いますけれども、証人尋問の続行ということになると思いますが、現在までに、一応あと本日の証人以外に、被害者の証人尋問を申請していただいて、それについては、検察官、弁護人の方でご意見をいただいていますので、本日決定するということにしてよろしいですね。  では、採用いたします。取り調べを行いますけれども、次回公判ということでよろしいでしょうか。
  1629. 検察官1 被害者ですか。
  1630. 神坂裁判長 はい。
  1631. 検察官1 前回ちょっと手続で申し上げたか記憶がないんですが、被害者に対しましては、前回法廷で申し上げましたように、東京に住んでいる者ではないということ、それから高校生で学校があるということを考慮して、期日外で行っていただきたいと思います。またその際には、遮蔽措置を講じていただきたいというふうに考えております。
  1632. 神坂裁判長 期日外の尋問ということでよろしいですね。
  1633. 検察官1 はい。
  1634. 神坂裁判長 本日それで採用されるということでよろしいですね。
  1635. 検察官1 はい、結構です。
  1636. 神坂裁判長 遮蔽については、また後日、詳細については検討することにいたしますので。  期日外の尋問について、弁護人のご意見はいかがでしょうか。
  1637. 弁護人 そういうことが前提になっていますので。
  1638. 神坂裁判長 採用されるということでよろしいですね。  それでは、被害者の尋問については、期日外の尋問とするということで決定いたしました。  そうすると、期日を決めないといけないのですけれども、その期日については、また追って裁判所の方で日程を調整して、各当事者にご連絡いたしますので、よろしいですね。  そういうことで、これも期日外の尋問期日については、追ってご連絡するということにいたしまして、そうすると、それ以外の検察側の立証なんですけれども、本日までの段階では、今のところ、証人はそこまでなんですけれども、あとはどういうご予定でしょうか。
  1639. 検察官1 これは打ち合わせ等では申し上げたことなんですが、検察官としては、今までの書証あるいは証拠物の関係でいいますと、そのほか、日程のことも、証拠物の申請を予定しております。  それから、そのほかの検察官の方で調書等を証拠請求したけれども、不同意とされたものとの関係でいいますと、甲7号証、8号証の供述者であるAさん、これにつきまして、本日付で証人申請をしたいと思います。
  1640. 神坂裁判長 そうすると、7と8の供述者、Aさんについては、本日付で請求されるということでよろしいですね。
  1641. 検察官1 はい。
  1642. 神坂裁判長 この証人尋問の申請についての弁護人のご意見はいかがですか。
  1643. 弁護人 しかるべく。
  1644. 神坂裁判長 それでは、この方はもちろん公判廷でよろしいですね。
  1645. 検察官1 はい。
  1646. 神坂裁判長 それでは、次回の公判としては、この方を予定するということでよろしいですか。
  1647. 検察官1 はい。
  1648. 神坂裁判長 こちらの方で恐縮なんですけれども、鑑定書が不同意になっていますよね。
  1649. 検察官1 はい。
  1650. 神坂裁判長 これは……。
  1651. 検察官1 この鑑定人につきましても、証人申請する予定でございますが、申しわけございませんが、今この鑑定人と連絡をとっているところでございまして、正式な申請については、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  1652. 神坂裁判長 公判期日については、弁護人の方にも打ち合わせをした上で、決定させていただきますが、できるならば、このときに実施するということも含めて、検察側の方では、一応日程の調整と、それから申請される場合の申請の手続を、期日外でお願いするということでよろしいですかね。
  1653. 検察官1 はい。この期日というのは、同じ期日にAさんもやって、さらに鑑定人もということですか。
  1654. 神坂裁判長 はい。
  1655. 検察官1 それはもう同日付ということで結構です。
  1656. 神坂裁判長 弁護人の方もそういうことでよろしいですね。
  1657. 弁護人 はい。
  1658. 神坂裁判長 それでは、そういうことで、公判期日を改めて決定することにいたしますけれども、これも打ち合わせの結果ということになるのですけれども、1月24日午前10時ということでよろしいですか。よろしいですね。  それでは、次回の公判期日は、1月24日午前10時ということで、法廷は429号法廷。少なくともこの日には、検察官の準備等もあると思いますけれども、鑑定人の方も取り調べをするということにいたします。  被害者については、これとは別の日に、日程を調整して、なるべくこの日にまとめたいとは思いますけれども、期日外での尋問を行うということにいたします。  そこまでは、恐らく調書の同意状況から、実施することになるだろうと思うのですけれども、検察官の方から話が出ました、証拠番号でいうと甲20と甲21の供述者ですね、それからさらに別途立証の請求ブツの請求をされるということで、予定があるということのようなんですけれども、その辺については、大体いつごろを予定されるのですか。
  1659. 検察官1 ちょっとまだ現段階では……。
  1660. 神坂裁判長 この段階で請求というのは……。
  1661. 検察官1 この段階ではまだ……。
  1662. 神坂裁判長 それは、甲20、21については、もちろん不同意とされているのですけれども、立証の趣旨、検察官が請求をされた場合であるとか、あるいは、甲20、21の証人尋問のかわりの証人尋問を申請される場合の弁護人のご意向としては、大体どんなものでしょうか。
  1663. 弁護人 ブツについては関連性がないということで……。
  1664. 神坂裁判長 要するに、そのまま20、21。
  1665. 弁護人 立証についても必要ないということです。
  1666. 神坂裁判長 そういうことになるわけですね。
  1667. 弁護人 はい。
  1668. 神坂裁判長 恐らくそうなると思います。  そういうことですけれども、裁判所の方としても日程の関係がありますので、なるべくあれしたいと思うのですけれども、これは、その段階で、まだ検察側の立証が全部終わってない段階だと思いますので、できるだけ検察官に対して、今立証することを確定しているやつはもういいのですけれども、それ以外の甲20、21のかわりの証人尋問の申請と、それ以外の証人申請をされるのであれば、恐らく弁護人の方のご意見はそうなるんだろうということで予想がつきますので、なるべく具体的な必要性、関連性を示した上で、なるべく早期に請求を、期日外でも結構ですので、お願いしたいと思うのですけれども。
  1669. 検察官1 はい、了解いたしました。
  1670. 神坂裁判長 よろしいですかね。  あと、期限を区切るというのもあるのですけれども、ある程度のめどをつけたいと思うので、公判期日については1月24日ですよね。
  1671. 検察官1 はい。
  1672. 神坂裁判長 それよりもさかのぼって2週間ぐらい、1月10日ぐらいに打ち合わせを入れる、打ち合わせで重複するところもあるんでしょうけれども、1月の10日前後ということで、10日くらいまでに検察官の方で、甲20、21にかわる証人尋問の申請と、それから現在まだ証拠請求されていない状況について、新たな証拠請求をされるということであれば、具体的にはっきり示した上でということで、早いうちに証拠請求をお願いしたいという形で、お願いできますか。
  1673. 検察官1 はい。要望は理解いたしました。
  1674. 神坂裁判長 もちろん、検察官として、それまでにできなかったものについては、こういう事情があったということであれば、それでも結構ですので、手続上の理由で、そういうこともあるということは考えておりませんが、一応きょうのところは、勧告であれば何とかなるというふうなところまでの段階にないと思いますので、一応裁判所の要望ということで、1月10日までに、甲20、21にかわる証人尋問の申請と、それから現在までに証拠請求をされていないような新たな立証等の請求については、具体的な必要性、関連性を示して、証拠請求を期日外にてお願いしたいということで、お願いいたします。
  1675. 検察官1 はい。
  1676. 神坂裁判長 要望として理解していただきたい。お返事をいただいたということでよろしいですかね。話も具体的な動きで示して、ちょっとできればお願いしたいと思いますけれども。
  1677. 検察官1 はい、わかりました。
  1678. 神坂裁判長 よろしいですか。お願いします。  もしそれが出た場合には、弁護人の方でそれに対してご意見があるようであれば、それが提出されてから1週間ぐらいの間に、それに対する必要性、関連性に対する反論があれば、それを述べてもらってよろしいですか。
  1679. 弁護人 はい。
  1680. 神坂裁判長 それを見て、裁判所の方としては、裁判所の判断をしたいと思いますので。では、一応検察側の立証については、そういうことでということなんですけれども、この段階でどうかというのは難しいのですけれども、弁護人の方として、ある程度のことに基づいて、本件の立証について、もちろん被告人質問はされるだろうと思いますけれども、それ以外の何らかの証拠請求をされる見込みがあるかどうかということについては、今の段階では、その見込みについてはどのようにお考えですか。
  1681. 弁護人 今のところ、被告人質問だけを予定しております。そのように今の段階では検討しております。
  1682. 神坂裁判長 これも、詳細についてはなるべく早期に決めたいとは思いますので、その辺の方針が固まれば、期日外でも結構ですので、特に証人申請される場合には、必要性であるとか、関連性であるとかの上でも、裁判所に対して、別に公判期日にこだわりませんので、その辺、書面をもって申請をされますようにお願いするということで、お願いしておきます。  特に検察側の立証の方針が、例えばもっと広がるということがあるかもしれませんけれども、ある程度固まると、裁判所が採用するかどうかは別にして、最大限、さっき1月10日というふうにいいましたけれども、そこの段階で、もし検察官が裁判所の要望のとおり、この立証の範囲での証拠調べということに決まれば、最大限度、不採用は別にして、検察官の立証方針が決まるかなというふうに思いますので。  それに対して、弁護人の方でも証拠請求されるのであれば、なるべく早い段階で証拠請求をしていただければと思います。請求をお願いしたいというふうにお願いしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、一応公判期日としては、次回、1月24日午前10時から429号法廷で、これはAさんの証人尋問を行います。それからあとは、期日を調整した上で、期日外で被害者の証人尋問を申請するということに決定することにいたします。  本日はここまでといたします。
 
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